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T教授の「戦略的衝動買い」 第811回

充電用USB端子経由のハッキング抑止デバイス「USB DATA BLOCKER」を衝動買いして、さらに考察する

2025年01月25日 12時00分更新

文● T教授 撮影●T教授 編集●ASCII

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完全にデータ通信ラインをカットしていない?
それなら自分でACアダプタを持って行った方が確実かつ安心

 ここ数年近くずっと話題にのぼっているジュースジャッキングの明快な対策として、データ通信ラインをカットしたデータブロッカーの存在意義も十分理解できる。そしてその徹底した対策が仇となって、昨今流行の兆しにある急速充電や高速充電を阻害することも理論的には理解できそうだ。

 しかし今回の素人テストでは、データ通信ラインのカットされたデータブロッカーを介した場合でも25W程度の急速充電は可能だった。「データ通信ラインをカットする」というのが「ジュースジャッキングからデバイスを守る不動のベスト解」であるのなら、「データ通信ラインを装備したままで急速充電」がアドバンテージのデータブロッカーはどこか心配だ。

急速充電に対応するために、何らかの仕組みが施されているのであれば、データブロッカーはどこか心配が残る

 今後主流になるであろう、外観上はデータ通信ラインの見えないType-C対応のデータブロッカーの場合、物理的にデータ通信ラインが生きた状態なのか、データ通信ラインは存在しても論理的に何らかの手段でデータ通信をブロックすることができているのか、具体的かつ論理的な技術背景の説明が必要だと思われる。

 確かなことは確実に5V/2Aの準急速充電レベルまでしか充電効率は上がらないが、Type-AーType-Cの「ポータポウ」のようなレガシーなデータブロッカーを使うのが安心だ。あるいは100g前後重くなっても、確実に安心なのは急速充電がコミットされている、専用ACアダプターとケーブルを充電スポットに持ち込むことだ。これで面倒なジュースジャッキングとは無縁でいられる。

数あるUSB PD充電器の中から最適解を選ぶのが得策だ

 目当ての充電スポットでコンセントが空いていなければそのときは諦めて市販のデータブロッカーと自前のUSBケーブルを使えばいいだろう。急速充電とは無縁だが、前回ご紹介した中で一番安価な「変換名人」(スマホ充電アダプタ)を使用してもいい。

安価な変換名人という製品は単純にデータ通信ラインをカットしているので、一番確実かもしれない

 変換名人(スマホ充電アダプタ)はデータラインを介してコンテンツの同期などを一切させず充電作業だけに専念させるアダプタなので安全確実だ。スマホ画面で時々聞かれてウザい「端末のデータへのアクセスを許可しますか?」というメッセージとも無縁だ。

 すでに世界中で数多く販売されているデータブロッカーだが当初の「データ通信ライン」をカットするという簡単確実な王道から外れ、急速充電に対応することがデバイスのアドバンテージとなり、その実現を狙ったあたりから実用品の域からガジェットに成り上がってしまった感がある。

 リスクがあると言われている充電スポットでの対応戦略は、自分のスマホに合ったACアダプタとケーブルを使うという“鉄板”戦略、まだまだType-Aポートが多く急速充電への対応不明な充電スポットの急速充電は期待せず、データラインをカットしただけのシンプルなデータブロッカーと自前のUSBケーブルを活用する戦略、データブロッカーなどという存在はすべて忘れて少し重いが使い慣れたUSBモバイルバッテリーやパススルー可能なUSBモバイルバッテリーを活用する戦略、少しの時間なら充電ごときにあくせくせず、駅や空港では人物観察でもして楽しく時間を潰す戦略の4つが考えられる。

充電スポットへの対応として、いくつかの戦略があるが、少しの時間に充電にあくせくしないのも1つの手かもしれない

 残念ながら筆者のように隅々まで文系脳だが、「リスクも楽しみな廃人」にとっては登場から数年以上経ってもなぜかまだまだ成長中の「データブロッカー」というデバイスは安価で最高のテクノロジーガジェットだ。そして時間潰しのためのコレクションには最適なデバイスでもあるのだ。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:XYZA「Type-Cデータ遮断アダプター Type-C Data Shield」、JSAUX「USBデータブロッカー&USB Cデータブロッカー(4パック)」、変換名人「スマートフォン充電特化アダプタ 給電専用」、PortaPow「USB-A - USB-C データブロッカー」
・購入:Amazon.co.jp
・価格:順に1999円、1999円、569円、1480円

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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