完全にデータ通信ラインをカットしていない?
それなら自分でACアダプタを持って行った方が確実かつ安心
ここ数年近くずっと話題にのぼっているジュースジャッキングの明快な対策として、データ通信ラインをカットしたデータブロッカーの存在意義も十分理解できる。そしてその徹底した対策が仇となって、昨今流行の兆しにある急速充電や高速充電を阻害することも理論的には理解できそうだ。
しかし今回の素人テストでは、データ通信ラインのカットされたデータブロッカーを介した場合でも25W程度の急速充電は可能だった。「データ通信ラインをカットする」というのが「ジュースジャッキングからデバイスを守る不動のベスト解」であるのなら、「データ通信ラインを装備したままで急速充電」がアドバンテージのデータブロッカーはどこか心配だ。
今後主流になるであろう、外観上はデータ通信ラインの見えないType-C対応のデータブロッカーの場合、物理的にデータ通信ラインが生きた状態なのか、データ通信ラインは存在しても論理的に何らかの手段でデータ通信をブロックすることができているのか、具体的かつ論理的な技術背景の説明が必要だと思われる。
確かなことは確実に5V/2Aの準急速充電レベルまでしか充電効率は上がらないが、Type-AーType-Cの「ポータポウ」のようなレガシーなデータブロッカーを使うのが安心だ。あるいは100g前後重くなっても、確実に安心なのは急速充電がコミットされている、専用ACアダプターとケーブルを充電スポットに持ち込むことだ。これで面倒なジュースジャッキングとは無縁でいられる。
目当ての充電スポットでコンセントが空いていなければそのときは諦めて市販のデータブロッカーと自前のUSBケーブルを使えばいいだろう。急速充電とは無縁だが、前回ご紹介した中で一番安価な「変換名人」(スマホ充電アダプタ)を使用してもいい。
変換名人(スマホ充電アダプタ)はデータラインを介してコンテンツの同期などを一切させず充電作業だけに専念させるアダプタなので安全確実だ。スマホ画面で時々聞かれてウザい「端末のデータへのアクセスを許可しますか?」というメッセージとも無縁だ。
すでに世界中で数多く販売されているデータブロッカーだが当初の「データ通信ライン」をカットするという簡単確実な王道から外れ、急速充電に対応することがデバイスのアドバンテージとなり、その実現を狙ったあたりから実用品の域からガジェットに成り上がってしまった感がある。
リスクがあると言われている充電スポットでの対応戦略は、自分のスマホに合ったACアダプタとケーブルを使うという“鉄板”戦略、まだまだType-Aポートが多く急速充電への対応不明な充電スポットの急速充電は期待せず、データラインをカットしただけのシンプルなデータブロッカーと自前のUSBケーブルを活用する戦略、データブロッカーなどという存在はすべて忘れて少し重いが使い慣れたUSBモバイルバッテリーやパススルー可能なUSBモバイルバッテリーを活用する戦略、少しの時間なら充電ごときにあくせくせず、駅や空港では人物観察でもして楽しく時間を潰す戦略の4つが考えられる。
残念ながら筆者のように隅々まで文系脳だが、「リスクも楽しみな廃人」にとっては登場から数年以上経ってもなぜかまだまだ成長中の「データブロッカー」というデバイスは安価で最高のテクノロジーガジェットだ。そして時間潰しのためのコレクションには最適なデバイスでもあるのだ。

今回の衝動買い
・アイテム:XYZA「Type-Cデータ遮断アダプター Type-C Data Shield」、JSAUX「USBデータブロッカー&USB Cデータブロッカー(4パック)」、変換名人「スマートフォン充電特化アダプタ 給電専用」、PortaPow「USB-A - USB-C データブロッカー」
・購入:Amazon.co.jp
・価格:順に1999円、1999円、569円、1480円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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