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ユニバーサル検索ツール「Dropbox Dash for Business」で解決する課題、そして市場での「勝算」

20%の人員削減を経て、Dropbox CEOが新たに狙う“10億人の巨大市場”とは

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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必要とされているのは「クラウドにある情報を整理し、保護する」こと

 そもそも、なぜDropboxがユニバーサル検索ツールを開発し、提供することにしたのか。ハウストン氏は、そのきっかけを次のように説明する。

 「今では人類全体の知識がWebで簡単に検索できるのに、もっと身近な、自社内にあるナレッジになると検索が難しくなる。さらに、プライベートで使う検索ボックスは1つだけなのに、仕事では(業務アプリの)検索ボックスを10個も20個も使い分けなければならない。そんなおかしな状況を解決したいと考えたのがきっかけだ」

 ハウストン氏は、現在ではクラウド上に保管した情報を「整理すること」が、ナレッジワーカーにとっての大きな課題になっていると指摘する。17年前、Dropboxがクラウドストレージサービスを始めた頃とは違い、いまや仕事に関する情報は多数のクラウドツールに分散している。バラバラの場所に保管された情報の探索に、毎日多くの時間を費やしているのが現代のナレッジワーカーの姿だろう。

 「そうした変化に対応して、Dropboxが提供する価値も『クラウドに情報を保存すること』から『クラウドにある情報を整理し、保護すること』へとシフトしている。さらに重要なことは、“企業が持つあらゆる情報をカバー(吸収)する”インテリジェンスレイヤーを構築して、ユーザーが(生成AIを通じて)自然言語で自社のナレッジと対話できるようにすることだ」

Dropboxならではの強みは? 市場での勝算は?

 だが、MicrosoftのCopilot、GoogleのGeminiなど、最近のクラウドツール(業務SaaS)はおしなべて生成AIアシスタント機能を搭載している。競合の多い市場環境の中で、Dropboxはどんな強みを武器に“10億人市場”を狙うのか。

 この問いに対して、ハウストン氏はいくつかのポイントを挙げた。

 まずは、連携するツールがベンダーごとのエコシステムにロックインされないという点だ。たとえばGoogle Geminiは、Google Workspace内にあるコンテンツやデータならば自在にアクセスできるが、現状ではMicrosoft 365上の情報にはアクセスできない。こうした障壁が存在するかぎりは、ユーザーにとって“ユニバーサル”な検索ツールにはなり得ない。

 Dashが連携できるツールも現時点ではまだ限定的ではあるが、こうしたベンダーエコシステムによるロックインは避ける方針だと、ハウストン氏は明言した。

 「われわれは、Dashのようなツールはあらゆるプラットフォームをサポートする必要があると考えている。競合サービス(OneDriveやGoogle Drive)をサポートしているのもそのためだ。さらにDashは、Dropboxを利用していないユーザーであっても活用できる」

 もうひとつが、これまで約10年間にわたってビジネスユーザー、企業ユースにフォーカスしてきた経験だという。たとえば社外取引先とのコンテンツ共有など、コンテンツに対する複雑なアクセス権限の管理に多くのノウハウを持っており、Dashの開発においても当初からアクセス権限の問題は強く意識してきたという。そこにNiraのコンテンツガバナンス技術も追加され、よりビジネスユースに役立つものになった。

* * *

 ハウストン氏は、Dashが対象とするクラウドコンテンツのユニバーサル検索市場は、「今日に至るまで良いソリューションが存在しない、非常に大きな市場」だと述べ、Dashには大いに期待していると語った。

 「ユニバーサル検索とユニバーサルコンテンツガバナンスの両方を提供できるDashのようなツールは、ほかにはまだ存在しない。だからこそ、これからのDashの展開にとてもワクワクしている」

 また、当初はDVDの郵送レンタルでスタートしたNetflixが、やがて登場したストリーミングの巨大市場を“unlock(開放)”して急成長したことを引き合いに出し、Dropboxも同じような成長を目指したいと語った。

 「郵送のDVDレンタルを必要とする人よりも、ストリーミングを必要とする人のほうがはるかに多かったことで、Netflixは大きく成長した。同じように、スマートフォンが登場してみれば、PCを必要とする人よりも何百倍も大きかった。われわれが狙う新たな市場がこれまでのビジネスの何倍になるのかはわからないが、間違いなく大きな動きになるはずだ」

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