AMDは12月11日、業界で最高レベルの計算性能を誇る単一チップデバイス「Versal RFシリーズ」を発表した。
Versal RFシリーズは、最大80TOPSのDSP性能を提供し、正確な広帯域スペクトルの観測が可能なデザインとされている。単一チップに高解像度RFデータコンバータ、DSPハードIP、AIエンジン、プログラマブルロジックを一体化し、柔軟かつ迅速な信号処理を可能にしている。
高解像度のマルチチャネルRFコンバータと低遅延処理を活用することにより、Versal RFシリーズは広帯域スペクトルの同時キャプチャと解析を実現する。特にフェーズドアレイレーダー、電磁スペクトル操作、信号諜報、軍用および衛星通信端末などの重要な航空宇宙および防衛分野において、デバイスはその真価を発揮するという。
AMDのシニアバイスプレジデントであるSalil Raje氏は、「現代のRFシステムには、高解像度かつ高速サンプリングに対応したRFデータコンバータが欠かせない。Versal RFシリーズは、その要件を単一チップで満たし、業界をリードする解像度とDSP計算性能を提供する」と述べている。
複数のRFチャネルを統合し、Kuバンドに対応したVersal RFシリーズは、T&Mの分野でも優れた性能を発揮する。最大18GHzまでのダイレクトRFサンプリングと32GSPSに対応することで、信号処理のスペクトル解析と任意リサンプリングを実現する。
また、Versal RFシリーズは、既存のAMD Zynq RFSoCデバイスと比較して最大19倍のDSP計算性能を誇り、特定のDSP機能を専用ハードIPブロックで実装することで、電力消費を最大80%削減しているという。
