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大分の印刷会社が25万円で始めた“身の丈DX”

機械の音でスマホの通知が聞こえない?→Apple Watchで解決してみた

2024年11月29日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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  • 本文印刷

 大分県の印刷会社であるエイコー印刷は、製造進捗などの部門間をまたぐ複雑なコミュニケーションを円滑化すべく、LINE WORKSとApple Watchを組み合わせた独自のDXを推進している。

 シールやラベルの印刷を主力事業とするエイコー印刷。そんな同社が長年悩んでいたのは、「工程管理の見える化」である。すべての製品がオーダーメイドであるため、複数のプロセスを経て生産され、受注案件ごとの工程管理を正確に把握していないと納期の回答ができない。繁忙期には、営業と現場の「言った・言わない」のコミュニケーションのズレがよく発生していたという。

 課題の解決のために目を付けたのが、ビジネスチャットツールである「LINE WORKS」だ。“メンバーに等しく情報伝達できる”、“ログが残せる”という当初実現したかったことに加えて、使い慣れているLINEによく似た操作性であることを決め手に、受注報告と納期確認ツールとして導入した。

 LINE WORKSは、目論見通り、抵抗感なく利用され始めたという。しかし、機械音が響く工場内の社員が、スマートフォンの通知音に気づきにくいという新たな問題が発生した。製造担当のチェックが遅れて、結局、電話でのやり取りが頻発、導入効果は限定的だった。

 であれば、「ウェアラブルデバイスによる振動なら気づくのではないか」という発想で、同社が試したのが「Apple Watch」との連携だ。

Apple Watchを試している様子(エイコー印刷のブログより)

 Apple Watchを各部門のリーダーに支給して、部門のLINE WORKSのトークルームに投稿があると、振動と共に通知される仕組みを構築した。部門リーダーは手首に表示された情報を確認し、周囲のメンバーに即時展開する。

 LINE WORKSとApple Watchの組み合わせで、課題であった納期回答に要する時間は、従来の10分~30分から平均1分に短縮。業務状況の把握を通じてLINE WORKSを介したコミュニケーションも増加した。さらに工場内の社員は、スマートフォンを取り出すのが返信時だけになったため、作業に集中できるようになり、生産性や安全性の向上にも寄与しているという。

 エイコー印刷が今回のDXに要した費用は、LINE WORKSは無料の範囲内で活用、そして「Apple Watch Series 9(4台)」 の約25万円のみ。同社は、「多くの中小零細製造業者様と同じく、ITリテラシーの高い社員が多いわけではない当社にあって、低コストで導入にストレスのないDXで大きなカイゼンに繋げられた」とコメントしている。

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