東京国際映画祭に行ったら、自分の内面を見つめる意外なきっかけになった話
数年かけてゆっくり消化されていく
個人的に日比谷にはあまりいい思い出がありません。以前勤めていた会社があったのですが、そこを辞めたあとは足を運ぶこともありませんでした。
当時勤めていたのは、私にとって初めての業界。右も左も分からなかったのですが、先輩や上司に質問しても明確な回答が返ってくることはほぼなく…。「自分が分かっていることは、他人も分かっている」というスタンスで対応されるので、私はどう仕事を進めたらいいのか分からず途方に暮れていました。
その思い出がずっと心の中にあって、たまに誰かに心臓がギュッとつかまれたような気持ちになります。日比谷エリアは私にとって、その「ギュッ」を呼び起こす起爆装置のようなもの…だと思っていました。この日歩いてみるまでは。
でも、久しぶりに日比谷エリアを歩いてみたら、案外「無」の感情でいられたんです。今回「無」でいられたことで、なんとなくあのころの感情が自分の中で消化できつつあるのかなと思えました。時間が経過して、新しい環境に身を置くことで「やっぱりあの環境は変だったんだな」と受け止めて納得することができたのかもしれません。ずっと、うっすら胃がもたれていたものが、少しずつ消化されていたのかも。
日常を送る私たちに小さな変化を与えてくれるもの
11月6日(水)まで、日比谷と有楽町で「東京国際映画祭」が開催されています。この日、苦手意識のあった日比谷エリアを訪れたのは、このアジア最大級の映画祭を取材するため。映画は時代も設定も作品によってさまざまで、私たちに「新しい環境」を提供し、日常生活に小さな明かりを灯してくれるようなものだと思います。
たとえば、6日(水)18:15から東京ミッドタウン日比谷前の広場では、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」が野外無料上映されています。トム・クルーズのようなド派手なアクションはできなくても、身近な難題を解決する勇気はもらえるかもしれない。エンターテインメントとして見るだけでも、モヤモヤ抱えていたものを忘れさせてくれるかもしれない。
私が映画祭で鑑賞したのは「純潔の城」「サンセット・サンライズ」の2本。どちらも私にとっては「現在地」と「新天地」を表していると思えるような作品で、日比谷に対する感情の変化がちょっと腑に落ちた気がしました。ごちゃごちゃ考えずにもっと純粋に楽しめばいいのに。私だけなんだか馬鹿みたいだな、なんて思ったり。やっぱり、映画って特別なエンタメだな。
第37回東京国際映画祭
開催期間:10月28日(月)~11月6日(水)
開催会場:シネスイッチ銀座、丸ノ内TOEI(中央区)、角川シネマ有楽町、TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 日比谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、丸の内ピカデリー、有楽町よみうりホール、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場、LEXUS MEETS...、東京宝塚劇場(千代田区)ほか、都内の各劇場及び施設・ホールを使用
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