さらなる事業成長に向けたプラットフォーム戦略の第一弾、生成AIによる要約機能の強化も
「AmiVoice」が新プラットフォームを軸に議事録関連サービスを連携へ
2024年09月09日 09時00分更新
好調な音声認識事業、さらなる成長のためのプラットフォーム化の狙い
アドバンスト・メディアは、1997年に創業、AI音声認識エンジンの「AmiVoice」を中核に、コールセンターから議事録、医療、建築、製造・小売まで、“声”を使う領域で事業を拡大してきた。
ecarlateの調査予測によると、音声認識市場全体の売上は、2022年の1098億円から2027年には1950億円まで拡大するという。新型コロナウイルスを契機としたオンライン会議の浸透、ChatGPTを始めとする生成AIの登場により、ニーズの増大と技術の進化が著しい市場だ。
市場の好調も受け、アドバンスト・メディアの2023年度の実績は、売上高(60億100万円)、営業利益(13億6700万円)共に過去最高を達成。特に、既存のビジネス領域における音声認識サービスの売上が前年度比で20%近く伸びているという。同社の取締役 事業本部長である大柳伸也氏は、「成長の大きな理由は、ストックビジネスの売上比率の向上。2017年頃からサブスクリプション型にモデル転換を始めており、特に、2019年末には50%前後であったVoXT(議事録・文字起こし)事業のストック比率は、2023年度末に95.2%まで達した。成長のためのビジネス基盤を築けている」と説明する。
2024年度の目標は、売上高が70億円、営業利益が14億7000万円と、さらなる成長を目指す。そのために、販売・開発パートナーを強化して、生成AIとの連携を深めて付加価値を拡大していく。加えて進めるのが、主力事業における“プラットフォーム化”である。
ユーザーの利便性向上とは別に、プラットフォーム化の狙いが2つある。ひとつは、多様なサービスを同一プラットフォームで用意することで、利用顧客を拡大すること。もうひとつが、個別サービスを開発・運用することによるリソース分散をなくし、音声認識エンジンや課金、アカウント管理などを共通化することで、開発スピードを迅速化することだ。
その第一弾が、今回提供する議事録領域の「VoXT One」であり、今後も利用用途や技術領域で既存・新規サービスをまとめたプラットフォームを展開していく。大柳氏は、「ライセンス管理や同一アカウントでの複数サービスの利用といった利便性を提供するだけではなく、サービスもしくはプラットフォーム間でのデータ連携を進めることで新たな価値を見つけていきたい」と語った。