1兆ドル規模に拡大するAI市場に向け、インテルがパートナーと決起集会
富士通、NTTデータがGaudiとNVIDIAのベンチを披露 Intel Connection 2024基調講演
2024年09月04日 07時00分更新
インテルは、2024年9月3日、AIビジネスパートナーを集めたイベント「Intel Connection 2024」を開催した。基調講演の前半では、「AI Everywhere」を掲げるインテルのAI戦略や、同社が注力する「インテル Gaudi AIアクセラレーター(以下、Gaudi)」の最新動向、そしてパートナーによるベンチマークが披露された。
1兆ドル規模の市場に向かうAI市場をパートナーと歩む
昨年に引き続き2回目となるIntel Connectionは、同社が掲げる「Bringing AI Everywhere」を基軸に、AIの活用した製品やソリューションを取り上げるビジネスイベント。産学官連携や公共部門などでの利活用を考える「インテルパブリック・セクター・サミット東京 2024」、AI電力問題やエネルギー問題を主題に据える「インテルエネルギー・フォーラム 2024」も同時開催された。
初日の基調講演に登壇したインテル代表取締役社長の大野誠氏は、オフライン開催となった今回のイベントについて「Connectionという名前の通り、つながりを強く意識したイベント」と説明し、パートナーとのネットワーキングや共創に期待を寄せる。
また、AIを主軸にしたイベントの開催について大野氏は、「AIを軸にした技術がわれわれの経済・社会活動でどのように発展し、どのようなインパクトを与えていくか。みなさんとさまざまな意見効果を通じて、答えに至らなくても、ヒントは持ち帰ってほしい」と説明。その上で、「AIの時代はまだこれからで、期待も大きいが、課題も少なくない。AIはまさにネクストフェーズに入っていくところ。AIの時代が花を咲かせるのはまだまだこれからで、みなさんにとってもチャンスが拡がっている」とアピールした。
続いて、ビデオメッセージに登壇したインテルCEOのパット・ゲルシンガー氏は、50年以上におよぶ日本における活動実績と日本のパートナーとの強いパートナーシップを強調。「しかし、見つめるべきは過去ではなく、未来だ」と語るゲルシンガー氏は、四半世紀前のインターネットの勃興に次ぐ大きな変革がAIによってもたらされると力説し、2030年までに1兆ドル規模の市場にまで拡大するAI市場に向けて、日本のパートナーとの関係をより強固にしていくインテルの方向性をアピールした。
AI Everywhereからファウンドリー戦略まで最新のAI戦略を披露
続いて登壇したインテル セールス&マーケティング・コミュニケーション統括本部 アジア・パシフィック日本地域本部長のハンス・チュアン氏は、AI Everywhereからファウンドリー戦略までインテルの最新のAI戦略を概説した。
チュアン氏は、「すべてのデバイスがAIデバイスに、すべての企業がAI企業になる」と語り、企業におけるAIのポテンシャルを高くアピール。一方、複雑化するメソッドやインフラ要件、計算資源の利用にかかる増大コスト、実用化までの数多くのステップ、データセキュリティとプライバシー、そして倫理的なAIのリスクなど、企業のAI利用にはさまざまな課題が立ちはだかっていると指摘した。
こうした課題を解決すべく、インテルでは「AI Everywhere」のビジョンを掲げる。PC、エッジ、データセンターなどあらゆる領域に対して、ハードウェアのみならず、ソフトウェア、ソリューションを提供。その上で、すべての領域でオープンなエコシステムを構築することで、「ユーザーや開発者が安心してAIを作れる環境を提供し、1社に縛られない豊富な選択肢を用意する」(チュアン氏)という。
2028年には80%を占めると言われる「AI PC」においては、Intel Core Ultraプロセッサーを投入しており、すでに8万ユニットを出荷済み。500以上のAIモデルに対応すべく、OEMベンダーとの共同開発を強化している。
また、エッジにおいては、クラウドとの連携でかかるコストや遅延といった課題に対応し、規制や地政学上のリスクに対応するためのオンプレミスのニーズに応える。「AIはエッジの主要なワークロードになる。2026年までにエッジコンピューティングの50%がAIを主要なワークロードとして実行すると見込まれている」(チュアン氏)。また、データセンターにおいても、現在1億3000万個にもおよぶIntel Xeonが稼働しているという。
こうしたエッジとデータセンターの需要に応えるべく市場に投入されたのが、高密度でスケールアウトされたワークロードの性能と電力効率を向上させるインテル Xeon 6プロセッサーだ。Xeon 6は高い処理速度とワットあたりの電力効率を追求したEコアと、厳しいワークロードの要求に応えるハイパフォーマンスなPコアが用意されている。
また、NVIDIA対抗のAIアクセラレーターとして4月に「Gaudi 3」を発表済み。「世界中のお客さまが、XeonとGaudiを基盤としたシステムの価値を認め、エンタープライズクラス市場での導入を拡大している」とチュアン氏はこれまでのGaudiの実績をアピールする。
さらにファウンドリー戦略においても重要な半導体の製造技術の世代を表すプロセスノードについても説明された。チュアン氏は、「4年間で5つのプロセスノードを実現する計画を進めているが、予定通り順調に進んでいる」とアピール。このうち「プロセス技術のリーダーシップを取り戻す」べく、同社のファウンドリー戦略の中心に位置づけられている「Intel 18A」について進捗を説明した。
PPA(Performance、Power、Area)の観点で最先端を謳うIntel 18Aは、自社製品のみならず、今後ファウンドリーサービスでも幅広く導入される。まずはクライアント向けの開発コード名「Panther Lake」、サーバー向けの開発コード名「Clearwater Forest」に関しては、年始にテープアウトされ、すでにWindowsとLinuxの起動が確認されているという。
7月には電子設計自動化(EDA)や設計資産(IP)パートナーが顧客向けのチップ開発を行なうための設計ツールキットであるPDK1.0をリリースされ、2025年の上半期には、外部顧客向けのテープアウトが見込まれているとのこと。また、パッケージング顧客に関しても、大手10社中、すでに5社とのデザイン契約が締結されているという。