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ザッカーバーグ氏ら、欧州のAI規制を批判「イノベーションを妨げる」

2024年08月26日 13時50分更新

文● @sumire_kon

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マーク・ザッカーバーグCEOとダニエル・エクCEO

メタのマーク・ザッカーバーグCEO(左)とSpotifyのダニエル・エクCEO(右)

 メタのマーク・ザッカーバーグCEOとSpotifyのダニエル・エクCEOは8月23日(現地時間)、連名で欧州連合(EU)によるAI規制を批判する声明を公開した。一連の規制は不完全で、オープンソースのAIの普及を阻害するとしている。

EUの人々が最新のAI技術に取り残される可能性を指摘

 マーク・ザッカーバーグCEO(メタ)は声明で、インターネットは主にオープンソースの技術によって支えられており、次世代のアイデアやスタートアップもオープンソースAIで構築されると主張。その上で、EUの一連のAI規制には一貫性がないため、メタが公開したオープンソースの大規模言語モデル(LLM)「Llama」の活用がEU圏外に対して遅れ、開発者の足を引っ張る(イノベーションを遅らせる)結果をもたらしていると述べている。

 Spotifyのダニエル・エクCEOも、自社サービスでユーザーごとにパーソナライズされた体験を提供するためにAIを活用していることを挙げ、規制構造をシンプルにすることは開発者だけでなく、AIを活用したサービスを利用する広範なクリエイターにとっても大きなメリットになると主張。既知の害悪に対する規制は否定しないが、新興技術に対する理論上の害悪を先制的に規制するのは、イノベーションの阻害に繋がると批判した。

 さらに両者はEUのAI規制について、規制当局内での対応の遅れという別の問題があることも指摘。例えばメタは規制当局から、FacebookやInstagramで成人が公開するコンテンツを使ったAIモデルのトレーニングを遅らせるよう指示されているが、これは同社が違法行為をしたからではなく、規制当局が具体的な規制方法について合意に達していないことが理由だという。

 両氏は、今のやり方では、EUは一世代に一度のチャンスを逃すことになるとも述べ、EU当局に対し、AI規制に関する方針や対応方法を改めるよう求めた。

 AIへの対応を巡っては、EUは日本や米国と比べて規制を強める方向へ進んでおり、2023年3月にはイタリアでOpenAIの「ChatGPT」の利用が一時停止されるケースも発生している。

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