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XM(体験管理)に特化したAIで「ビジネスをもっと人間らしく」

日本市場に1億ドル投資 ― クアルトリクス CEO「体験管理の素地が整った」

2024年07月30日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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XMに特化したAIで「ビジネスをもっと人間らしく」

 クアルトリクスのXMソリューションは、7年前に発表したXM専用のオペレーションシステム「XM/OS」を基にしている。体験に関する情報から、一人一人のプロファイルを作成する「xID」で”記憶”を蓄積し、感情分析などを利用してxIDにある記憶から重要なパターンやシグナルを見出す「iQ」で理解を深め、ワークフローの「X Flow」により、組織全体の”神経系”として必要なアクションがとれるようにする。

「xID」で”記憶”を蓄積し、「iQ」で理解を深め、「X Flow」でアクションをする

 このXMソリューションにAIが加わることで、大規模なデータの理解やスケールのある形でのアクション実行が可能になる。

 セラフィン氏は自社のAIである「Qualtrics AI」の特徴として、「世界最大級の人間のシグナルとインサイトのリポジトリを基盤としている」と述べる。100以上のAIモデルを持ち、xIDと連携して学習し、記憶する。セキュリティやコンプライアンスも確保され、それを拡張性をもって実行できる。

 これらの機能を通じて目指すのは「ビジネスをもっと人間らしく」だ。「一人一人を深く理解し、企業と従業員、企業と顧客の結びつきを強める」とセラフィン氏。

Qualtrics AIが選択される理由

 AI機能の詳細を説明したのは、XMストラテジー シニアディレクターの久崎智子氏。日本で2024年秋に展開予定の「インタラクティブダッシュボード」、「会話型フィードバック」などが紹介された。

 インタラクティブダッシュボードでは、チャット形式でやり取りする「Qualtrics Assist」を使って、より深い洞察を得られ、効率化も進められる。集計したアンケートについて取るべき行動を尋ねたり、その結果を知らせるメールの下書きを作成してもらったりといった活用方法だ。

 会話型フィードバックは、顧客の回答に動的に対応する機能だ。例えば、「体験はどうでしたか?」という質問に「最悪だった」などという自由回答がされた場合は、追加で「何が悪かったのかお聞かせください」と言った質問を投げてフォローアップを行う。

インタラクティブダッシュボード

会話型フィードバック

 さて最後に、“体験を売る”クアルトリクスらしいユニークなサービスを紹介しよう。同社は、毎年米国・ユタ州ソルトレークで開催する「X4」で、「Dream Team」というサービスを提供している。

 Dream Teamは、イベントの「体験」向上のために、参加者から送られた“要望”に応えるサービス。2024年のX4では、「コーヒー持ってきて」といった穏やかなお願いから、「最新のiPadがほしい」という無茶なお願いまで寄せられたという(もちろん、コーヒーはOKだが最新のiPadは却下された)。筆者も試してみたところ、ちゃんと要望が叶った。

イベントアプリからDream Teamを選択し、「チョコレート持ってきて」と頼んだところ、プレスルームまで持ってきてくれた

 このDream Teamが、日本のイベントでも展開されていた。参加者の願いを叶えようと走り回っているのは、クアルトリクスの社員約20人。スタッフによると、コーヒーのリクエスト、空調の調整に加えて、名古屋からの参加者からは、「子供が英語の試験でいい成績だったのでお土産を買いに行きたいけど時間がない。何かいいものを」といったリクエストもあったそうだ。

Dream Teamのメンバー。机の上にあるのは、「取りに来る」を選んだ参加者の要望の数々。会場内に届けて、という声にも応じていた。15時の時点で100以上の要望があったとか。

Dream Teamに要望を送る画面。「クアルトリクスAIに任せる」オプションを選択したところ、Qualtricsのロゴ入りの折り畳み傘と扇子をいただいた。

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