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山本 敦の「新選! オーディオレポート」 第43回

【レビュー】Apple Vision Proはアップル流「耳をふさがないヘッドホン」だ

2024年07月26日 19時00分更新

文● 山本 敦 編集●飯島 恵里子/ASCII

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アップルの“空間コンピュータ”「Apple Vision Pro」

 アップルが6月末に日本で発売した“空間コンピュータ”「Apple Vision Pro」は、本体に内蔵するオーディオポッドの音質がとても優秀です。オーディオ機器としてのApple Vision Proの魅力を、2回のレポートに渡って掘り下げてみようと思います。

左右のバンドに内蔵するオーディオポッド。Apple Vision Proを装着した状態で、耳の真上に音の出口になるスリットが位置するようにデザインされています

Apple Vision Proが内蔵する「オーディオポッド」がすごい

 Apple Vision Proは本体に固定されている左右のストラップに、デュアルドライバーユニット構成の「オーディオポッド」と名付けたスピーカーを内蔵しています。ユニットから生まれた音はオーディオポッドの細いスリットから出力されて、耳に直接送り込まれます。

スピーカーから出力された音の出口となる細いスリット。見かけから想像も付かないほどパワフルで濃厚なサウンドを出力します

 この時にApple Vision Proは独自の自動音場補正機能であるオーディオレイトレーシングを駆使して、ユーザーがいる部屋の音響空間を再現します。筆者もApple Vision Proのサウンドを聴くたびに舌を巻いています。音の力強さが小さなユニットのサイズを明らかに超えています。加えて、実体感の豊かな音が耳もとで分厚く鳴るので、Apple Vision Proで再生するコンテンツの世界に深く入り込めます。

オーディオポッドの細かな仕様は公開されていませんが、デュアルドライバーユニットを搭載しています

 音場が大きなスケールで描かれ、見晴らしもクリアです。筆者はマンション暮らしなので、わが家のリビングルームではサウンドバーをフルパワーで鳴らせる時間帯等の条件が限られます。Apple Vision Proは音楽や映画の空間オーディオ再生をいつでもベストコンディションで楽しむことができます。

 Apple Vision Proは本体内蔵のカメラによるパススルー映像の表示に対応していますが、オーディオも耳をふさいで聴くスタイルにしてしまうと、装着したまま動き回れるスタンドアロンのヘッドセットとしては危険を伴います。ゆえにアップルは耳をふさがない開放型スタイルを選択したのでしょう。

 Apple Vision Proによるオーディオ再生のパフォーマンスは、いま人気の耳をふさがないイヤホン・ヘッドホンの中でもトップクラスに位置付けることができます。現在、アップルのAirPodsシリーズには耳をふさがない完全開放型のワイヤレスイヤホン・ヘッドホンがありません。Apple Vision Proのオーディオポッドだけをヘッドバンド状にして、アップルらしい洗練されたデザインのウェアラブルオーディオに仕上げることができれば、控えめに言っても「バカ売れ」するだろうと筆者は思います。AirPods Maxに近い7〜8万円ぐらいの価格でも買いたいです。

 今秋にAirPodsの新しいラインナップが発表されるとしたら、筆者は耳をふさがないAirPodsの登場が有り得ると思うし、期待したいです。

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