自然で好ましい音調、音モレは確かに気にならない
では、どんな音がするのだろうか。手持ちの「iPhone 15 Pro Max」にBluetoothでnwm ONEを接続する。一般的なBluetoothデバイスと同様、簡単に接続できた。
音楽を聴いてみると、騒々しい空間に音楽が浮かびあがるような不思議な感覚が感じられた。耳から少し離すと全く音は聞こえなくなる。ただし、実際には音モレの大きさは周囲の環境音の大小に左右される。他人との会話は普通に可能である。
音質は良好だ。全体に出音は軽めではあるけれども周波数バランスがよく聞きやすい。低域が抜けたような感じは少ない。低域は軽めだがウッドベースの音色自体はよく再現されている。ロックではドラムスは軽めだがそれなりにパンチが感じられる。おそらく超低域は物理的な遮蔽がないので抜けてしまうが、人が主に低域として知覚するような中低域はよく出ていると思う。中高域の再現性は良好で、
アコースティックの楽器音は美しく聞こえる。ただしヴォーカルが少し遠い感じはする。静かな環境なら音楽は十分に楽しめそうだ。
試聴ブースから少し離れた静かな場所に行き、ヘビメタをボリューム最大で再生してみた。30-40cmくらいの距離ではほぼ聞こえなくなる。ファミレスの隣のテーブル席などでは、かなり音量を上げても音モレはまず聞こえないと思う。
総じていうと最新のオープンイヤー型イヤフォンに似た音傾向で軽めのサウンドではあるが帯域バランスが良く、静かな環境であれば普通に音楽を楽しめると思う。音モレはPSZ技術によりかなり抑えられているので周囲に気を使うことも少ないだろう。また、イヤホン型とは異なり、ヘッドホンの音場の広さを楽しむことができる。
実のところ、オープン型のヘッドホンで音モレも抑えられる選択はない。"ONE"という言葉の「唯一のもの」という意味があるように、自分のライフスタイルに適合するかどうかが、「nwm ONE」を選ぶかどうかのポイントとなるだろう。
NTTソノリティは、来たる7月27日に開催される「夏のヘッドフォン祭 mini 2024」にも出展するということなので、気になる方は試してみてはいかがだろうか。
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