前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第223回
スーツを持ち運ぶのに便利すぎる……「SU-PACK」 ならシワをつけずにたたんで、バッグの中に収納できる!
2024年07月16日 18時00分更新
マジシャンはスーツをシワなく持ち運びたい
筆者の仕事はマジシャン。観客に対して至近距離で演じるクロースアップ・マジックが専門です。
表現としては鼻につくものでしょうが、クロースアップ・マジックには「富裕層向けの、少ない人数で楽しむマジック」という面もあるかもしれません。
そうなると、マジックの腕前も大切ですが、スーツやバッグなどにも気をつける必要があります。なぜなら、マジックの腕前の良し悪しはわかりにくいですが、ブランドは(いろいろな意味で)誰にでも“わかりやすい”ものだからです。
たとえば、腕時計、スーツ、革靴……。意外と高価なのが、ガーメント。ガーメントとは、スーツをシワなく収納する専用バッグのことです。
ガーメントを使う利点は、スーツにシワができないこと以外にもあります。たとえば海外の仕事で国際線の航空機に乗ると、(座席上の収納ではなく)別の専用ハンガーにガーメントをかけてもらえるので、気分もいいのです。
というわけで、最初に買ったガーメントは、ルイ・ヴィトンのガーメントのタイガ(M30704)。
値段以外はとても気に入り、しばらく愛用していました。しかし、職人の技が集約されているせいか、とにかく重い。最後は自重に負けたのか、使用頻度が高すぎたのか、持ち手が2度も壊れてリタイヤすることに……。
それならと、軽量で知られるイタリアンブランド、プラダにチェンジ。スーツが2着と靴が入る厚いガーメント、1着用のスリムタイプと、2つを購入しました。
「プラダナイロン」と呼ばれる素材の丈夫さと見栄え、軽量さがとても便利でした。ブラックなのもマジシャンっぽいし……。フランスのブランドから、イタリアのブランドに浮気したわけです(笑)。
競合ブランドのガーメントは持ち込めない……
ところが、話はこれで終わりません。そのうちに、ハイブランドではなく、スーツを買うとオマケでついてくるような薄いガーメントを使うようになりました。
というのも、ファッションブランドの仕事では、競合ブランドのバッグを持ち込むことでクライアントを不機嫌にさせるわけにはいかないからです。
仕事柄、ほとんどのブランド(または同資本)のスーツは揃えています。しかし、ガーメントまで用意するのは、経済的にも保管場所の面でもほぼ不可能。
そこで、オマケのガーメントを使うことが増えてきました。ところが、これには耐久性がないという欠点があります。チャックが壊れたり、傷みやすかったりするのが難点でした。
“インナーガーメント”という発想の転換
そんなある日のこと、ネットショップで“インナーガーメント”という商品、「SU-PACK(ヴェリー)」を発見!
ハンガーを使用せず、スーツをホルダーに固定してたたむことで、ビジネスバッグやキャリーケースに入れて持ち歩けるというもの。バッグに入れるガーメントなので、“インナー”ガーメントというわけです。実売価格は6800円前後。
なんとスーツ上下とシャツ、ネクタイのすべてが35×50cm(A4サイズ2枚より、少し大きめ)に収まるという、マジックのようなアイテムです。
とはいえ、どんな製品も試してみなければわからない、世知辛い時代。すぐに購入して、スーツを入れて実際に使ってみることにしました。
まず、結論を申し上げると、製品に嘘偽りはありませんでした。説明書どおり、キチンとたたんで収納すれば、ほぼシワなく着ることができます。
ただ、シワなく持ち運ぶためには、ポイントもあります。使ってわかったことは、以下の3点です。
◯スーツやシャツはしっかりと乾燥した状態で収納すること
◯シャツのノリは少し強めにしておくこと
◯シワになりにくい素材のスーツを選ぶこと
自分でシャツにアイロンをかけず、クリーニングに出すなら「出張でバッグにしまうので、ノリを強めにお願いします」などと頼むと、対応してくれる場合があります。
シワになりにくいスーツがわからなければ、お店で尋ねると教えてもらえます。目安としては「ウール、またはウールとポリエステルとの混紡が、シワになりづらい」と覚えておくとよいでしょう。
筆者の愛用するスーツケースにもフィット
航空機での出張が多い筆者が愛用しているスーツケースは、リモワのトパーズ(2輪、32リットル)。その理由は、100席以上の航空機に機内持ち込みができるから。万が一、預けた荷物が別の空港に行ってしまっても、あわてることなく仕事に向かえます。
スケジュールによっては、到着した日にショーをするなんてことも……。マジックに使う衣装や道具を現地で調達するのは不可能ですし、クライアントや観客からは「それを用意するのはマジシャンでも無理か」なんてジョークをいわれるかもしれません。
これまでは、スーツケースとガーメント、2つのバッグを持ち歩いていました。今ではスーツケースの中にSU-PACKがピッタリと収納でき、幸せなマジシャンの日々を送っています。
マジックなどのショービジネスは、華やかな部分だけが注目されがちかもしれません。しかし、表舞台に立つためには、そつのない準備も必要です。
今回は、マジシャン以外の方にも役に立ちそうな「スーツをシワなく、コンパクトに持ち運ぶ」方法のタネ明かしでした。いかがだったでしょうか?
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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