JVCケンウッドが「ビクター(Victor)」ブランドで展開する新しい完全ワイヤレスイヤホンが「HA-FX550T」だ。
同社はこれまで、ウッドコーン振動板のイヤホンで高音質を追求してきたが、HA-FX550Tでは新たに11m口径のシルクレイヤー・カーボン振動板を採用している。ブラックとブロンズの2色展開で、実売価格は2万9700円前後。6月27日に発売済み。
シルクレイヤー・カーボン振動板は、天然素材のシルク(絹)の成分をカーボンコーティングしたベース部に付加したものだという。ブランドとしては初のハイレゾコーデック(LDAC)を採用したのもポイントだ。ビクターブランドらしく、ビクタースタジオのエンジニアが協力したサウンドモードも付加されている。
BluetoothはPower Class 1に対応している。Bluetoothの出力レベルではもっとも大きい仕様で、実装次第ではあるけれどもより遠い距離まで届き、切れにくいことを意味している。電池持続時間はノイズキャンセリングONの状態で4時間(ケース充電を合わせて14時間)とやや短い。
ウッドコーンにはないシルク素材の利点とは?
先日開催されたOTOTEN 2024の会場で、HA-FX550Tでなぜシルク素材を選んだのか聞いてみた。
JVCケンウッドによると、シルク素材はウッドに比べて製造しやすく、周波数特性にピークやディップが出にくくフラットで、作り込みやすいという長所があるそうだ。ウッド素材はスピーカーではいいが、イヤホンでは作りにくい面がある。シルクの方が低価格で音を良く作り込みやすいのだそうだ。価格的には「HA-FW1000T」の下となるが、シルク素材の効果で価格を下げられたということなので、音質的にはむしろ上だという。つまり、ビクターブランドの現行機種では、トップモデルとなるようだ。
もう一つのポイントは装着性だ。普通のイヤホンは耳の下側で固定することが多いが、HA-FX550Tでは耳穴の上側で止める設計にしている。また、同じ11mm口径のドライバーでありながら、HA-FW1000Tより3割近く小型化できたのはシルク素材の効果もあるそうだ。
このようにシルク素材化は低価格で音質を作り込めることと装着性の向上という2点で効果が出ているようだ。このためウッド製品とは違う新しいラインとして考えているとのこと。
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