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東工大、界面金属層による超伝導転移温度の上昇を発見

2024年06月20日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学の研究チームは、低次元超伝導体であるグラフェン-カルシウム化合物の原子構造を調べることで、支持基板である炭化ケイ素との界面でカルシウム金属層が形成されることを発見。界面構造の制御によって超伝導転移温度を上げられることを示した。

東京工業大学の研究チームは、低次元超伝導体であるグラフェン-カルシウム化合物の原子構造を調べることで、支持基板である炭化ケイ素との界面でカルシウム金属層が形成されることを発見。界面構造の制御によって超伝導転移温度を上げられることを示した。 研究チームは今回、純粋なグラフェン-カルシウム化合物を合成する方法を新たに開発。合成過程を光電子分光法で調べることで、カルシウムが高密度になると、2層グラフェンの間だけでなく、支持基板である炭化ケイ素との界面にも侵入し、カルシウム金属層が形成されていることを発見した。さらに、金属層の影響による超伝導転移温度(物質を冷やしていき、電気抵抗がゼロになる温度)の上昇も観測し、その上昇に寄与する物理現象も解明した。 3次元の超伝導体を薄くして2次元化すると、多くの場合転移温度が低下してしまうが、今回のように支持基板との界面構造まで制御すれば、転移温度の低下を防ぐことができ、将来的に転移温度の向上へつなげられると期待される。同チームによると、グラフェン-カルシウム化合物はありふれた元素から構成される低次元物質であるため、低コストで微細な超伝導素子を生成できれば、量子コンピューターの集積化と普及に貢献できるという。 研究論文は米国化学会誌ACSナノ(ACS Nano)に2024年5月13日付けでオンライン掲載された

(中條)

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