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がんバイオマーカーを検出する「RNA液滴コンピューター」を開発

2024年06月12日 06時27分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学、京都大学、東北大学、理化学研究所の共同研究チームは、がんのバイオマーカーである特定のマイクロRNA(miRNA)を選択的に認識し、AND演算の結果を出力できる「RNA液滴コンピューター」の開発に成功した。がんの早期診断や、薬物送達、機械的動作などをするインテリジェントな微小ロボットや化学的な人工知能を実現する技術への貢献が期待される。

東京工業大学、京都大学、東北大学、理化学研究所の共同研究チームは、がんのバイオマーカーである特定のマイクロRNA(miRNA)を選択的に認識し、AND演算の結果を出力できる「RNA液滴コンピューター」の開発に成功した。がんの早期診断や、薬物送達、機械的動作などをするインテリジェントな微小ロボットや化学的な人工知能を実現する技術への貢献が期待される。 細胞内部では、生体分子が自発的に集合して微小な液体状の構造物(液滴)が形成され、この「液–液相分離(流動性を持つ液体状の構造が分離すること)」と呼ばれる現象が、細胞の構造と機能の制御、さらには病気に深く関与することがわかっている。研究チームは今回、ターゲットとする2種類のmiRNAが入力されたときだけAND演算を実行して液滴を溶解するようにプログラムした「RNA液滴」を構築。乳がんのバイオマーカーである4種類のmiRNA用いて、その挙動を実証した。 同チームはさらに、RNA液滴の演算結果を高価な試薬や機器を使わずに検出する手法を開発。メチルグリーン・ピロニンと呼ばれる安価な細胞染色液を用いて、目視で結果を確認できるようにした。 近年では、プログラマブルな生体分子であるデオキシリボ核酸(DNA)が形成するDNA液滴の研究が進展しているが、もう一つのプログラマブルな分子であるRNAの液滴が機能性を備えることはあまり報告されていなかった。 研究論文は、2024年6月3日に米国化学会刊行の科学雑誌ACSナノ(ACS Nano)のオンライン版で公開された

(中條)

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