2024年1月にOpenAIが発表した動画生成AI「Sora」はインパクトがありましたが、DeepMindが開発したフレームごとの動画をブロック状にデータとして出す方式「時空間パッチ(Space-Time Patch)」という方式を使ったのではないかと推測されていました(「動画生成AIの常識を破壊した OpenAI「Sora」の衝撃」参照)。発表された技術レポートの情報を合わせて、推測する方式をまねれば、同様のことができるのではないかということで、新しい動画生成AIの研究が進んでいます。
OpenAI「Sora」まねた研究が続々
その代表例が、3月リリースされた「Open Sora」というプロジェクト。中心として進めているのは、中国系のAIスタートアップのHPC-AI Techという企業などの中国系の研究者たちです。Soraのメソッドで推測できる部分から、再現していこうというプロジェクトで、「すべての人への効率的な映像制作の民主化」というコンセプトを掲げています。
適切なデータセットを揃えられれば、似た動画を生成できる可能性があるため、Soraを既存技術で再現しようとしているのです。16フレームで学習しているため、最長2秒で、解像度も240x426ピクセルと小さなサイズですが、Soraをまねた空間的な特徴を学習することができる手法を使うことで、一貫性を維持した動画の生成に成功していました。最初のバージョンの1.0では3日間のトレーニングで実現できたと述べています。
そして、このモデルを土台とした派生研究が登場しています。
そのひとつが4月に発表された「Open Sora Plan」という派生モデル。北京大学信の袁粒(リー・ユアン)准教授の研究室が開発したモデルです。やはり最長2秒という限界がありますが、基本の画像サイズが512x512ピクセルとなり、クオリティが上がっています。約4万本のパブリックドメインの動画を元に学習したそうです。そのうち60%が風景映像ということで、海の波が打ち寄せる様子や、海中の風景、たき火が燃える様子など、自然物の動画描写を実現しています。
この連載の記事
-
第85回
AI
誰でもVTuber時代へ フェイシャルAI技術、続々登場 -
第84回
AI
画像生成AI「Stable Diffusion 3.5」性能はものたりないが、自由度が高いのは魅力 -
第83回
AI
リアルすぎてキモい 動画AIの進化が止まらない -
第82回
AI
もはや実写と間違えるレベル 動画生成AI「Runway」の進化がすごい -
第81回
AI
AIイラスト、こうしてゲームに使っています -
第80回
AI
ゲーム開発はAI活用が当たり前になりつつあるが、面白さを作り出すのは人間の仕事 -
第79回
AI
AIが考える“アイドル”がリアルすぎた グーグル「Imagen 3」なぜ高品質? -
第78回
AI
話題の画像生成AI「FLUX.1」 人気サービス「Midjourney」との違いは -
第77回
AI
画像生成AI「FLUX.1」が相当ヤバい LoRAで画風の再現も簡単に -
第76回
AI
「Stable Diffusion」の失敗に学び、画像生成AIの勢力図を塗り変える「FLUX.1」 -
第75回
AI
商業漫画にAIが使われるようになってきた - この連載の一覧へ