名古屋大学の研究チームは、超低周波微弱パルス磁場環境(ELF-ELME)がうつ病患者の抑うつ症状を改善する可能性を示す研究成果を発表した。この治療法は、ミトコンドリア機能の活性化に関連しており、標準的な抗うつ治療に比べて副作用が少ないことが特徴である。
名古屋大学の研究チームは、超低周波微弱パルス磁場環境(ELF-ELME)がうつ病患者の抑うつ症状を改善する可能性を示す研究成果を発表した。この治療法は、ミトコンドリア機能の活性化に関連しており、標準的な抗うつ治療に比べて副作用が少ないことが特徴である。 研究では、うつ病患者4名が頭部装着型のELF-ELME装置を1日2時間、8週間使用した。治療の効果は精神科医による日本語版のMADRS(抑うつ状態評価尺度)とAIによるMADRS(AI-MADRS)を用いて評価され、8週目にはすべての参加者の抑うつ症状が有意に改善されたことが確認された。具体的には、治療開始からのMADRS総評点の平均改善率が週ごとに増加し、8週目には68%に達した。 研究成果は3月26日、エイジアン・ジャーナル・オブ・サイキアトリー(Asian Journal of Psychiatry)誌にオンライン掲載された。ELF-ELMEによる治療は、抗うつ薬や電気けいれん療法などの現在標準となっている治療法に比べて副作用がほとんどなく、医療費負担の軽減も期待できるという。(笹田)