Windows 11の「設定」→「Windows Update」→「その他のオプション」には、「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」というトグルスイッチがある。
そこにある「詳細情報 [デバイスで利用可能になるとすぐに Windows 更新プログラムを入手する - Microsoft サポート]」のリンク先には(https://support.microsoft.com/ja-jp/windows/%E3%83%87%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%A7%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%99%E3%81%90%E3%81%AB-windows-%E6%9B%B4%E6%96%B0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%92%E5%85%A5%E6%89%8B%E3%81%99%E3%82%8B-cad7b32b-001e-435b-9110-f18309b54168)、「デバイスで利用可能になるとすぐに最新のセキュリティ以外の更新プログラムと機能更新プログラムを入手することができます」と記載がある。
結論から言えば、この設定をオンにすると、「Dアップデート」として配布されるプレビューリリースが自動インストールされるようになる。今回はこのあたりを解説したい。
Windows 11 23H2のWindows Updateはそもそもどうなってる?
Windows Updateで配布されるアップデートには、以下の表のようなものがある。このうち大きなものは、バージョンアップを除くと、「累積的な更新」と「プレビューリリース」である。
累積的な更新(CU、Cumulative Update)とは、毎月第2火曜日午前10時(米国太平洋時間、日本では第2水曜日の夜中)に配布される。このタイミングを「Bアップデート」と呼ぶが、アップデートそのものを指すこともある。「B」は第2週という意味だ(Aが第1週)。
このとき「~Windows 11 Version 23H2の累積更新プログラム」と、命名されたアップデートが配布される。この中には、過去に配布されたセキュリティアップデートが含まれており、新機能が入っていることもある。累積的な更新のうち最後に配布されたものは、LCU(Latest Cumulative Update)と呼ばれる。これが、いわゆる毎月のアップデートである。
また、このBアップデートのタイミングで、Windows Update自体の更新がなされることがある。これをSSU(Servicing Stack Update)という。SSUはWindows Updateの更新の履歴には表示されないが、長い期間、電源をオフにしていた場合など、Windows Updateを開始する前にSSUがインストールされる。このため、Windows Updateの開始までに時間がかかっているように見える。
1つのLCUに含まれる過去のCU(累積的な更新)は5ヵ月分なので、半年以上使っていなかった場合などには、複数のCUをインストールしなければならない。同時にSSUも必要なので時間がかかる。このため普段は電源がオフになっているPCでも、5ヵ月に1度程度は起動した方が、アップデートに要する時間を短縮できる。
一方、「プレビューリリース」とは、毎月の第4火曜日午前10時(これがDアップデート)に配布が開始されるアップデートを指す。これは、翌月のBアップデートで配布される累積的な更新とほぼ同じもので、そのプレビュー版的な位置づけになっている。これにより、企業などではBアップデートの前に社内環境や独自アプリケーションなどの検証が可能になる。
最近では、2024年4月9日がBアップデート、4月23日がDアップデートだった。次回のBアップデートは5月14日である。
BとDアップデートの実際のところ
Windows 11では、LCUに新機能が含まれることがある。その前のDアップデートで配布されるプレビューリリースにも当然新機能が入っていることがあるが、ときにはDアップデートに含まれていた新機能がBアップデートでは入らないこともある。
Windows 11のリリース情報に関しては、「Windows 11 リリース情報」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/windows11-release-information)にリストがある。それによれば、LCUは4月9日(Bアップデート)で配布された「KB5036893」(https://support.microsoft.com/ja-jp/topic/2024-%E5%B9%B4-4-%E6%9C%88-9-%E6%97%A5-kb5036893-os-%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%89-22621-3447-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3-22631-3447-a674a67b-85f5-4a40-8d74-5f8af8ead5bb)である。このリリースは、「22631.3447」というビルド番号を持つ。
これに対応するプレビューリリースは、3月26日(Dアップデート)に配布された「KB5035942」(https://support.microsoft.com/ja-jp/topic/2024-%E5%B9%B4-3-%E6%9C%88-26-%E6%97%A5-kb5035942-os-%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%89-22621-3374-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3-22631-3374-%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC-3ad9affc-1a91-4fcb-8f98-1fe3be91d8df)で、ビルド番号は「22631.3374」である。
Bアップデートの情報ページには、「このセキュリティ更新プログラムには、更新プログラムKB5035942 (2024年3月26日にリリース)の一部である改善が含まれています」と表記がある。このためか、このページには、詳細な改善点の記述がない。
逆にDアップデートの情報ページには、改善点のリストのほか、Bアップデートのページに記載がない新機能の記述がある。
プレビュー版にあって、LCUになかったのは
・ローカルアカウントから10回だけCopilotに質問ができる
・ロック画面のウィジェット表示の強化(CFR、Controlled Feature Rollout)
の2つ。
CFRとは新機能をB/Dアップデートで配布するのではなく、B/Dアップデートのインストール後、ユーザーごとに機能を順次有効にしていくものだ。多くは、Microsoft側のサービスと連動しているため、たとえば地域ごとなど、サービス側の準備が整った段階で有効化される。Copilotの方は、新機能というよりはMicrosoftのマーケッティング施策に近い。
4月9日のBアップデートではロック画面新機能の記載が落ちたが、4月23日の「KB5036980(OS ビルド 22621.3527 および 22631.3527)」(https://support.microsoft.com/ja-JP/topic/april-23-2024-kb5036980-os-builds-22621-3527-and-22631-3527-preview-5a0d6c49-e42e-4eb4-8541-33a7139281ed)に新機能として「ロック画面のウィジェット」がある。この機能は正式搭載が延期されたようだ。もっとも、来月のBアップデート(5月14日)に入るかどうかはわからない。
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