パナソニックファンを増やすことが重要な目的
今回のPanasonic Factory Refreshの取り組みは、パナソニックが、メーカー保証の中高再生品の販売を開始したという観点だけで捉えるものではなく、もっと大きな視点で捉える必要がある。
それはひとことでいえば、「パナソニックファンを増やすこと」である。
そして、同社が取り組んでいる指定価格による「新販売スキーム」や、商品を販売したあとも、顧客とIoTでつながり続け、長く安心して利用できる環境を提案する「新・商売の基準」の取り組みとも、密接に連携するものとなっている。
たとえば、新販売スキームでは、商品価値に見合った適切な価格で販売することを目指しており、これまでにように、発売から一定期間を経過すると2割以上の値下げが行われるという商習慣から脱却を狙っている。だが、新たな機能を搭載した商品を、より求めやすい価格で購入したいというニーズがあったり、値下げを柔軟に行う他社との競合環境によって、一部製品では指定価格を引き下げたりしているのが実態だ。ここにPanasonic Factory Refreshを、戦略的に投入するといったことも可能になる。
宮地社長は、「Panasonic Factory Refreshを、『体感の入口』に使ってもらうことができる」と語る。
Panasonic Factory Refreshの対象は、先にも触れたように、新販売スキームの対象商品を中心にしている。新販売スキームの定着によって、開発リソースを新製品に集中させることができ、それによって生まれたパナソニックらしい感動を生み出す商品によって使用体験価値を高めるためのもうひとつの提案手法を、Panasonic Factory Refreshによって実現することになる。
また、パナソニックでは、指定価格制度と連動する形でSCM改革に乗り出しており、生産拠点と連動した安定的な供給と、最適な在庫コントロールをもとに、いつでも購入できる環境を実現しようとしている。ここでも、Panasonic Factory Refreshを組み合わせることで、店舗における在庫の考え方を変えたり、需要期においては新品だけではない新たな販売提案が可能になったりする。
一方、「新・商売の基準」では、IoT接続によって収集したデータをもとに、稼働状況を分析。アプリを通じて、困りごとや使いこなしに関するお役立ち情報や便利機能の紹介、電気代の目安の可視化、自動化した節電運転などによる省エネサポート、異常検知、メンテナンスの啓蒙などを行っている。こうした取り組みを続けることにより、長期間に渡って、高いパフォーマンスを維持したまま、家電を利用できる環境が整うる。これは、将来的には、Panasonic Factory Refresh向けに品質の高い商品を確保することもつながる。
また、この仕組みが整うことで、ユーザーは、自分の生活に適した機能を搭載した商品が発売された際には、使っている家電を下取りに出して、次の商品に買い替えることができるようになる。しかも、排出した家電がPanasonic Factory Refreshによって再生利用されるのであれば、環境面でも負担を感じることはない。パナソニックの家電を選択したいと思う、新たな価値を提案することにもなる。
さらに、新販売スキームの定着によって、これまで毎年新製品を発売していたサイクルを改善し、2~4年の一度のサイクルに長期化すれば、機種数が減少し、修理用部品の点数を削減でき、同時に部品の保有期間の長期化につなげることができる。これは、Panasonic Factory Refreshを購入しても、長期間に渡って安心して利用できる環境づくりにもつながる。
宮地社長は、「パナソニックならではの感動を生む商品を作り続け、家電の購買体験価値、使用体験価値を感じてもらうことに加えて、パナソニックが、環境においても価値があるブランドであることを認知してもらいたい。その結果、パナソニックファンが増え、圧倒的支持を得られる家電メーカーになれれば、家電事業全体を成長させることができる。ブランド価値を高めながら、圧倒的なポジションを作り上げたい」と語る。
Panasonic Factory Refreshは、パナソニックファンを増やすための重要なピースとなる。

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