3/希望の絵に近い生成結果をコマに当てはめる
顔などは作り置きで生成しましたが、最初からガッチリ構図などを決めてしまうと逆にその構図が出るまでAIガチャを頑張ってしまうため、ネームの段階で構図はあまり細かく決めず、AI生成物の中から構図が合うものを採用していきました。そのため前のコマからの流れが不自然にならないよう順番に生成する必要があったので、効率はあまり良くなかったです。この辺りは次回以降改善方法を検証します。DALL・E 3で生成した画像を当てはめただけの状態はこんな感じです。
4/加筆→SDXLモデルでi2i→加筆し、背景を入れて加工して完成
3の状態まで出来たら加筆して、色を統一したり、3コマ目の左部分を描き足したりします。この場合は主にAdobePsの生成拡張を使いますが、この程度の余白なら普通に加筆したりクリスタの歪みツールで端まで伸ばしたりした方が早いです。
そして加筆後に、SDXLモデルでi2iして画風を統一します。(詳しい方にしか伝わらない説明になりますが、i2iの際のDenoising strength数値は0.2~0.4くらいでやりました。コントロールネットなどは使用しておりません)
見ての通りi2iしてもこの数値だと構図や絵柄はほぼ変わらず「油絵風」の画風のみ反映されるので、全体の統一感を出し馴染ませるのに便利です。1コマ目の亀は結構変わってますが、これは自分が部分的に他の生成物をツギハギ+加筆したためです。あとは背景を入れて加工・加筆で調整して完成。
全11Pの製作時間
最初のキャラデザで難航し、途中まで作ってからキャラ外見を変えたりしたので、試行錯誤も含めるとかなり時間がかかっています。ネームを含めない、AIでの原稿製作作業に入ってからはトータルで3~5日くらいでしょうか。特に後半は白黒なのを考えると、個人的には手で描くよりもスピードが遅いです。
ただ今回はどのAIを使用するかなど、フォーマット決めに時間がかかったのが大きいですね。今回でフォーマットは完成したので、次回はどのくらい時短ができるかに挑戦したいです。次回は次回で新キャラが出る予定なので、また時間がかかりそうな気もしますが……。
雑誌とウェブ両方の媒体で掲載する想定で作ったので、いつもより丁寧に仕上げをしたというのも一因でしょう。
AI漫画は手を抜いても作れますが、手を抜いて適当な生成物をベタ張りするだけだとまさに「誰でも作れるもの」、面白みがあるとは言えないものが出来ます。AIだからこそ、ネームでも絵作りでも強いメッセージ性でも性癖でも何でも、どこかしらに拘りを持って自分の味を生かすと、AIで作ったものでも一味違う、個性のある面白いものに仕上がりそうです。
工夫した事
・絵は白黒二値化する
主線がグレーでぼやっとしてるといかにもAIな絵に見えがちです。AIで手描きっぽい白黒漫画を作りたいのであれば、線画は2値化した方が綺麗です。
このDALL・E 3で生成した画像をSDXLでi2iして微妙に画風を調整し、グレー部分をクリスタでトーン化してみましょう。トーン化に一番簡単な方法は以下だと思います。
クリスタの「イラスト調」フィルタで、一番下の「色の階調数」を3~4くらいにしてグレーをフラット化します。このままでもいけますが、トーンを分離したい場合はレイヤーを「LT変換」し「トーンワーク」で階調化しましょう。
本当に少しの差に見えるかもしれませんが、こういう細かい処理が結構大事で、全体の印象を左右します。
・線画の太さを出来るだけ統一する
生成画像を拡大縮小すると線画の太さがコマごとに変わります。これも個人的に気になるので、クリスタで線画を2値化してからプラグイン「加筆」で太さを調整した上で情報量を削りました。
・白黒化→ゴミ取りツールで絵の情報量を減らす
使用モデルの絵がそこそこ緻密だったのもあり、拡大縮小すると細部の細かさの差が目立ちました。手動で線の太さや密度を全て修正するのは面倒ですので、白黒化した後にゴミ取りツールで適当に囲って線の量を減らしてます。
(次ページ:漫画へのAI使用で便利だと思った事)