サウンドメイクに凝りだすと何時間あっても足らない!
任意のスマートホンとペアリングを終えて完全充電済のmodel i ANCを充電ケースから取り出すと、スマホで起動中のSOUND MAKEアプリが自動的にmodel i ANCを見つけ、アプリ画面上に「接続されました」とメッセージが明示される。続いて「メイクする」をタップすることで、各種音楽ソースの再生音を自分好みに変更できる「メイク」画面に移動する。
サウンドメイクページトップには「プリセット」「DRIVE」「MY-EQ」の3項目が横表示される。プリセットはメーカー提供の推奨設定で全部で58種類、DRIVEはプリセットの初期音圧レベルだ。Level4以上はかなりの音圧なので、ユーザーのスマホ出力と合わせて事前の確認調整が必要だ。右端のNY-EQはプリセットのサンプルから自分好みのプリセットを作っ、て固有のネーミングを設定して保存する場所だ。
任意のプリセットを選択して上段の「メイク」をタップすることで、プリセット済の全ての周波数帯別の音圧設定を見ることが可能だ。音楽ソースを聴きながら、グライコをアップダウンしフィルタータイプを調整編集することで、きっと自分好みの設定に出会えるだろう。リセットしたければ「戻す」を押すだけだ。気に入ったマイプリセットができ上がれば、ユニークな名前を付けて保存すれば先ほどの「MY-EQ」に保存されていつでも呼び出すことができる。
今回は筆者の好きなサリナ・ジョーンズの「アントニオの歌」をAmazonミュージックで聴きながらプリセットの「VC-1:主役はボーカル」を選び、自分な好きなサウンドを変更編集してみた。そしてそのプリセットファイルに「サリナ・ジョーンズ」とアーティスト名を付けて保存した。これでサリナ・ジョーンズを聴く時は、マイプリセットを呼び出すだけでお気に入りの音楽環境で楽しめる。
続いてちょっとマイナーだが、筆者の好きなロベン・フォードのアルバムに自分が聴きたい音に最も近いサウンドに変更してみた。「HR-1T:僕はヘビーロックしか聴かない(Tube)」をベースにイコライザーをいじって自分専用の「Robben Ford Boost」という名前で保存した。一度やってみるとマイ・フェイバリット・サウンドのメイクは極めて簡単で朝令暮改的にできるのがうれしい
ついつい調子に乗ってデビューした頃から大好きなヘビーメタルロックグループのアイアン・メイデンのマイ・フェイバリット・サウンド・プリセットもメイクしてみた。アルバムごとに個性が強くミキシングや音質の傾向も違うことの多いバンドなのでメイクがより楽しい。
今回やってみたのは通常のCDである「A Matter of Life and Death」の「Different World」とYoutubeのネット上にある「Different World」の両方を何度も聴き比べて最高のメイクができたと思ったら、同じグループの同じ曲でもメイクは2種類になってしまった。こういう変態的な結果も極めて楽しい。
サウンドメイクは凝りに凝ってくると何時間あっても足らない感覚になってくる。しかし同時にこの世界はとことん突き詰めて見ることも時には重要だ。クラシックも嫌いではない筆者だが、まだまだこだわりと経験が不足しており、モーツアルトの交響曲「ジュピター」は「CL-1W:クラシック(ウォーム)」をベースにして一発変更ですぐに満足してしまった。
今回はmodel i ANCを手に入れてまだ時間が経ってなかったのでAmazon Prime Musicやスマホの中のデジタルミュージック(通常はVLCで再生)、Dropbox上に保管している自分たちのバンドの音楽データなどの20曲くらいを聴いて、メイクをやってみた。Amazon Prime Musicではリアルタイムで聴きながらプリセットを切り替えたりメイク可能で超便利で楽しい。
残念ながらスマホ内部ストレージやDropbox上のミュージックソース、YouTubeのコンテンツではメイク時に再生がストップしてしまって、メイクのビフォーアフターのサウンド特性の記憶力が試されてしまうちょっと惜しい結果だった。やはり普段から耳の記憶訓練と鍛錬は重要だ。
「フラット」という音響環境を知ることが重要だと考えていたオーディオマニアだった筆者は、1970年〜1990年頃は音楽を楽しむことより「良い音」で聴きたいという欲望が強かった。40年前には10万円のキットオーディオと300万円のコンポーネント・オーディオの世界では、その音質には極めて大きな隔たりがあった。しかし音響技術は大きく進化し「良い音」「悪い音」の幅は限りなく縮小しているのが現実だ。
人間中心のダイバーシティ社会の到来と共に、音楽も極めてパーソナルに楽しむ主観的なモノだという意識が普通になって来た。model i ANCの出現は極めて個人差のある「好きな音」という最も大事な要素を再認識させてくれる令和時代のヒューマンデバイスだ。今は昨年末に大阪でやった我々のライブの録音を、より楽しい自分風のミュージックに仕立て上げるべく日々サウンドメイクを楽しんでいる。
今回の衝動買い
・アイテム:JPRiDE「model i ANC」
・価格:1万2999円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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