このページの本文へ

日本法人の原田新社長が取り組む「新規ビジネス」「サポート強化」「日本品質」

“脱セキュリティベンダー”目指すタニウム ― セキュリティに留まらないDXソリューションを

2024年02月20日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 コンバージド・エンドポイント管理(XEM)プラットフォームを展開するタニウム(Tanium)は、2024年2月14日、日本法人の新社長就任にあわせて、事業戦略説明会を開催した。

 XEMとは、タニウムが提唱するIT管理とエンドポイントセキュリティを統合したソリューションだ。資産管理や構成管理、パッチ管理といったエンドポイント管理とエンドポイントセキュリティを、単一のプラットフォームで提供する。エンドポイントの状態や状況をリアルタイムに把握でき、IT環境を健全な状態に保つ“サイバーハイジーン”を実現するソリューションとして導入を進めてきた。

 来日した米Taniumの最高経営責任者であるダン・ストリートマン(Dan Streetman)氏は、「タニウムのXEMプラットフォームの持つ、リアルタイムかつシームレスで、自律型のテクノロジーが、企業のサイロ化を解消し、複雑さやコスト、リスクを削減することができる」と説明する。

米Tanium 最高経営責任者 ダン・ストリートマン(Dan Streetman)氏

 タニウムは現在、リアルタイムなエンドポイントデータとAIを組み合わせた、自律型エンドポイント管理(AEM)の実装を進めている。「AIが叫ばれているが、リアルタイムの可視性とコントロールを持たないベンダーは、信頼できるAIのストーリーを持っていない」とストリートマン氏は強調する。

2024年に国内でタニウムが掲げる3つの軸

 続いて2024年2月1日付けでタニウムの代表執行役社長に就任した原田英典氏より、国内の事業戦略が説明された。

タニウム 代表執行役社長 原田英典氏

 原田氏がタニウムに加わったのは、2017年末。その時はまだ、日本では限られた人しかタニウムのことを知らなかったという。EDRの全盛期であり競合も多い中で、タニウムは“見えないものは守れない”という考え方のもと、サイバーハイジーンの領域で戦っていくことを決めた。

 タニウムは徐々に大規模環境のユーザーに導入され、NTTコミュニケーションズやNEC、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)などのパートナー企業の賛同も得ていく。2020年に管理エンドポイントは100万台、2022年には200万台を突破した。

 日本のユーザーからは、リアルタイム性や運用負荷・コスト削減、ここ最近ではグローバルITガバナンスの強化などを評価されてきたという。

タニウムの日本市場でのビジネスの歴史

 現在、従業員は110名までに増え、国内の管理エンドポイント数は300万に。直近4年間のサブスクリプション売上の年平均成長率(CAGR)も60%となり、これは「グローバルの中でも突出して高い数字」と原田氏。

日本法人の最新のMomentum

 そして更なる成長に向けて、原田氏は、2024年の国内事業戦略として「新規ビジネス40%成長」「サポート体制2倍」「日本品質」の3つの軸を掲げた。

2024年の事業戦略の3つの軸

 ひとつ目の新規ビジネス40%成長に関しては、従業員が数千人から5万人規模の企業に対するアプローチを強化していく。

 これまで同社のユーザーは、従業員が5万人以上の超大規模企業が中心で、同カテゴリでは半数以上に採用されているという。2024年は、2万人から5万人規模のユーザーに対して自社の営業リソースを割き、数千人から2万人前後のユーザーに対してはパートナーとのエンゲージメントを強化していく。

 2つ目のサポート体制2倍に関しては、既存のユーザー基盤を強化する取り組みだ。「ユーザーの満足度維持が中期的な成長には必須」だと原田氏。

 そして、3つ目の軸となる日本品質においては、日本市場に即した製品開発の強化に取り組む姿勢を見せる。例えば、2023年にリリースしたUSBの管理機能は、日本のユーザーからの要望を受けて開発されたものだという。2024年は、ローカライゼーションや品質の強化を担う、専門の組織を立ち上げるとした。

脱セキュリティベンダーを目指し、DX経営の根幹を支える

 原田氏は、DX化が求められている中で、利便性とセキュリティがトレードオフの関係になってはいけないと述べる。「セキュリティソリューションがゲートキーパー的に経営活動を抑止するのではなく、ガードレールとして存在して、自由な活動、利便性の向上、DX促進を実現することが求められる」(原田氏)。

 実際に、セキュリティソリューションに留まらない効果を生み出した事例として、フードロスを解消した取り組みを紹介。7000人が働くとある工場では、コロナ禍において出社人数が安定せず、毎日用意していた昼食が無駄になることが多かったという。そこで、午前中のパソコンの稼働状況から出社率を割り出し、リアルタイムで食堂にデータ渡すことで、フードロスを大幅に削減した。

 その他にも、ITサポートがデバイスをモニタリングしてプロアクティブに不具合を対処することで、従業員の満足度や生産性の向上につなげている企業や、ハイブリッドワークにおける勤怠管理をタニウムで実践する企業もあるという。

 タニウムでは、DX経営の根幹をなす、膨大なエンドポイントの正常稼働、それを利用する従業員の生産性や満足度の向上を実現する。そのために「“脱セキュリティベンダー”として、サイバーハイジーンに次ぐブランディングを考えていきたい」と原田氏は締めくくった。

フォトセッションの様子

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード