仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第59回
中小企業にも開放されたMicrosoft Copilot for Microsoft 365
2024年02月29日 10時30分更新
本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は中小企業も対象となった「Microsoft Copilot for Microsoft 365」に注目した。
Microsoft Copilot for Microsoft 365を試してみた
筆者は当初、Microsoft Copilot for Microsoft 365に注目していなかった。大企業向けのMicrosoft 365 E3/E5を対象に展開を開始したからである。2023年11月時点の話だが、そのときは消費者向けおよび中小企業向けのテストも開始しているとの一文があったものの、300シート(契約)以上の制限は大きいため、しばらく先の話になると踏んでいた。
ところが、Microsoftは、2024年1月15日(米国時間)に公式ブログで制限を廃止し、Microsoft 365 Business Standard/Business Premiumでも利用可能だと発表した。加えてOffice 365 E3/E5でも購入できるという。
さっそくMicrosoft 365 Business Standardを契約している筆者もMicrosoft 365管理センターで有効化を試してみた。新しい課金アカウントと課金プロファイルの作成を求められたが、それ以外は問題ない。サブスクリプション期間は1年と3年を選択できたが、有用性を判断できない現時点では1年で十分だろう。契約完了後は数分のバックグラウンドを待ってから、Microsoft Copilot for Microsoft 365のライセンスを割り当てれば使用可能になる。
Word for the webを起動すると、すぐに「Copilotを使って下書き」との名称を持つボックスが現れるので、そのままプロンプトを入力すればよい。また、「コンテンツの参照」ボタンからはOneDrive for Businessに格納したファイルを参照することも可能だ。下図はサポートページにあった「個人的なウェルビーイングの重要性に関する記事を書きます」をプロンプトとして投げたものだが、すでに使用しているMicrosoft Copilot(Bingから実行するCopilot)以上に堅実な文章を作成してきた。
日本マイクロソフトは2023年11月、報道関係者向けにMicrosoft Copilot for Microsoft 365のデモンストレーションを披露していたが、そのときよりも文章量も多い。完成度に関してはプロンプトの内容や求める文章によって異なる可能性は高いものの、確かにゼロから書き始めるよりは簡単で業務負担の軽減につながるだろう。なお、デスクトップ版Word(バージョン2312)でCopilotボタンは確認できなかった。
続いてOutlook on the webのメール下書き機能を試みたが、現状、Copilotボタンはグレーアウトしていたので、PowerPoint for webを試してみた。PowerPoint for webのCopilot機能ではWordドキュメントファイルやプロンプトからPowerPointプレゼンテーションファイルを生成できる。下図は前述のWordドキュメントファイルをOneDrive for Business経由で参照させたものだが、プレゼン時に発話するメモまで生成した。これなら社内や客先のプレゼンが多い方にも便利そうだ。
Teams for Webも"新しい"バージョンに切り替えるとCopilot機能が動作したものの、相手とのやり取りを前提とした機能は試せていない。ただ、チャット履歴を元に内容を要約する「過去1日間のハイライト」はオンライン会議に出席できなかった従業員が、全体の流れを把握する上で有益な機能といえる。一度は社内・社外チャットで試してほしい。
中小企業においてMicrosoft Copilot for Microsoft 365は買いか?
さて、端的に述べればMicrosoft Copilot for Microsoft 365は有用である。問題はサブスクリプション料金だ。1年契約でも月30ドルで日本円に換算すると年4万5000円。消費税を加えると約5万円である。加えて日本マイクロソフトは、2024年4月1日より、Microsoft 365含めた法人向けソフトウエアおよびクラウドサービスの20%の値上げを予定している。正直に述べると筆者のようなライター稼業でMicrosoft Copilot for Microsoft 365に支払った費用の元を取るのは難しい。
これはITコストに苦慮する中小企業も同様だろう。ただし、有用性は高く業務負担の軽減につながる可能性も高い。本来なら従業員全員に展開するのが理想的だが、当初は高めのITリテラシーを持ちながら自社の事業内容を把握している従業員数名に展開し、費用対効果が大きいと感じたそのときがMicrosoft Copilot for Microsoft 365導入のベストタイミングだろう。
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