アップルがいよいよ2月2日、空間コンピューター「Vision Pro」を発売する。それにあわせてCESでもXR(クロスリアリティ)系のスマートデバイスが次々に出てきた。XR熱が高まるなか、すでにXRの実証を始めている建設会社がある。我らが清水建設株式会社だ。豊洲スマートシティ推進協議会として2つの取り組みを進めている。
そのひとつは、豊洲市場前の複合施設・ミチノテラス豊洲で開催しているマルシェイベント「豊洲場外マルシェ」で実施したMRアプリだ。もうひとつは試作している「ジオラマビジョン」。こちらは体験型観光案内と呼ばれるバーチャル空間のジオラマアプリだった。開発元はXRアプリデベロッパーとして実績のあるアップフロンティアだ。
「なんと『清水のXR』。いいじゃないですか!」と、すかさず聞き耳を立てたのは、おなじみ角川アスキー総合研究所の遠藤諭。さっそく清水建設のスマートシティ担当者に話をつけて、ミチノテラス豊洲までヘッドマウントディスプレーをかぶりに行ったのだった。
XRの取り組み概略
── まずは、なぜ清水建設がXRなのかというところを教えていただいていいですか?
谷口広樹氏(以下、谷口) 清水建設はもともとリアルな空間を作ってきた建設会社ではありますが、今後いわゆるバーチャルの世界が発展していくにつれて、リアルとバーチャルが融合することで、よりリアルな価値が高まる部分があるのではないかと思っています。
アップル「Vision Pro」などが発表され、スマートグラスが2025年以降に普及するという予想もあるなか、リアルとバーチャルを融合したユースケースを検討していこうということで、スマートシティでの取り組みをスタートしたという経緯です。
具体的な取り組みを始めたのは2020年から。メブクス豊洲をスマートシティの実証フィールドとして活用して取り組みをスタートしています。
進めてきたのは、都市空間と都市情報を活かすようなXRの取り組みです。スマートデバイスを活用し、リアル空間に情報を重ね合わせることで、より楽しい体験につなげていけないかというところで取り組みを進めてきました。具体的には、都市OSに上がってくる店舗情報や、施設の満空情報などをスマートグラスで見られるようにしていこうというものです。
── 都市OSのデータというのはどこが作っているんですか?
谷口 現在は、私たち豊洲スマートシティ推進協議会が作っています。将来的な情報入力方法などはこれから考えなければいけないところなんですが。
── ともかく、APIで引っ張れる部分を使っていると。どういう狙いがあるんしょう。
谷口 情報を見やすく整理することで、都市空間のセレンディピティ(偶然の出会い)を高め、ナッジ(行動の後押し)による回遊性の向上を促したいという狙いです。
出張などでもそうですが、初めて行く場所って情報がわからないですよね。特にイベントなどでは調べ方すらわからないという状況になりがちだと思うんです。そのときバーチャル空間に情報が上がっていることで、楽しいところが魅力的に映るんじゃないかと。
そのひとつとして実証したのが、豊洲場外マルシェで提供したガイドアプリです。アプリを通じてバーチャル空間内で商品情報や周辺情報を紹介するもの。こちらはスマートグラスなどのデバイスが普及した将来をイメージした長期的な取り組みでした。
もう一方、短期的な取り組みとして、デバイスが観光拠点に設置されることを想定した体験型観光案内「ジオラマビジョン」があります。
地方の観光拠点に、ボタンを押すと光って案内が流れるようなジオラマがありますよね。そのジオラマをバーチャル空間につくり、イベント情報、自然豊かな場所であればそこに棲んでいる動物や植生系など、より多層的な情報を載せていけるというものです。
というところで、あとは体験していただいた方が分かりやすいかもしれません。
── ぜひお願いします!!
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