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JAXA、X線衛星「XRISM」のファーストライト観測データを公開

2024年01月11日 06時48分更新

文● MIT Technology Review Japan

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月5日、2023年9月7日に打ち上げたX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」に搭載された軟X線撮像装置「Xtend(エクステンド)」、および軟X線分光装置「Resolve(リゾルブ)」のファーストライト(最初の試験観測)の観測データを公開した。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月5日、2023年9月7日に打ち上げたX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」に搭載された軟X線撮像装置「Xtend(エクステンド)」、および軟X線分光装置「Resolve(リゾルブ)」のファーストライト(最初の試験観測)の観測データを公開した。 Xtendでは、2023年10月14日から10月24日にかけて約7億7000万光年の距離にある銀河団「Abell 2319」の観測を実施し、X線画像取得に成功。Resolveでは、12月4日から11日にかけて大マゼラン星雲にある超新星残骸(星の爆発の痕)「N132D」を観測し、精細なX線スペクトルを取得することに成功した。 Abell 2319は銀河団同士が衝突している天体で、Xtendによる画像は二つの銀河団それぞれに付随する高温ガスの分布もとらえている。銀河団同士の衝突現象の全貌を理解するには銀河団の外側まで広範囲にわたる観測が必要であり、1回の観測で銀河団の全体を撮影できるXtendによる観測は、銀河団や宇宙の大規模構造の進化の理解に貢献しそうだ。 ResolveによるN132DのX線スペクトルの観測では、さまざまなイオンから放射される複数の輝線を分離できていることを確認。これらの輝線から、観測対象の高温ガスに含まれる元素の種類と量、高温ガスの温度や運動速度を算出することで、超新星の起源となった恒星内部や超新星爆発のメカニズム、ひいては、宇宙における元素の生成・流転について、新しい知見が得られることが期待される。 現在、衛星の状態は正常で、定常運用段階への移行を目指して初期機能確認運用を継続中。2024年2月からは定常運用段階に移行し、本格的な観測を開始する。

(中條)

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