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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第248回

MQAのその後、衝撃の経営破綻から買収、再スタートへ

2024年01月07日 17時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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Lenbrook Group

 MQAを買収したカナダのレンブルック(Lenbrook Group)は1月4日、新しい事業部門であるレンブルック・メディア・グループ(Lenbrook Media Group)を設立したと発表した。独立した新組織を通じて、レンブルックのコンテンツ管理ソリューションの商品化と開発をより効果的に行うとともに、音楽ファンやオーディオファンに高品質なオーディオを提供する選択を増やすものとしている。

MQAの独立性に配慮した結果か

 BluOSコンテンツ・マネジメント・プラットフォームを中核として、レンブルックが2023年秋に買収したMQAとSCL6の成長も監督するとしている。MQAを買収した際は、独立性を保証すると表明していた。このレンブルック・メディア・グループにMQAは含まれないが、代わりにMQAを監督していくという意味だろう。

 ちなみに、このリリースの原文においては、「監督する」という意味で"oversee"という英単語を使っている。同じ監督するという意味の"supervise"がより人事的に直接的に介入するニュアンスなのに対して、"oversee"は全体的な計画や戦略を見るというような間接的なニュアンスとなる。つまりMQAには組織としての独立性には介入しないが、戦略に関しては口を出すというような意味合いだと考えられる。

 レンブルック・メディア・グループを率いるのは誰か。新たに副社長兼ゼネラル・マネージャーに任命されたのは、MQAの元CEOのマイク・ジバラ(Mike Jbara)氏だ。MQAの入社前はワーナー・ミュージックの重役でもあった。

 レンブルック・グループの社長兼CEOであるゴードン・シモンズ(Gordon Simmonds)は次のように語っている。

 「MQAの資産買収は、当社の既存のBluOSプラットフォームを補完するものであり、レコーディング・スタジオの制作者たちを支援し、彼らの作品を最高の品質で音楽ファンに直接届けるものです。レンブルック・メディア・グループを設立することで、この独自の位置付けに焦点を当て、適切な戦略、体制、リソースを配置することで、この独自の位置付けを十分に活用することができます」

 またゴードン・シモンズ氏はマイク・ジバラ氏について次のように語っている。

 「マイクがMQAを率いていたとき、私たちは彼と密接に仕事をし、彼のコンテンツ制作から再生までの一貫したコンテンツ制作への理解に感銘を受けました。彼の優れた人間性、音楽業界に対する深い理解、そして音楽テクノロジーとライセンシングを中心としたビジネス活動に関する知識は、レンブルック・メディア・グループでのリーダーシップの役割を完璧なものにしています」

 マイク・ジバラ氏は次のように語っている。

 「高品質なオーディオ機器や音楽配信サービスを提供する業界において、選択肢とイノベーションを推進するというレンブルックのヴィジョンと、オーディオ・ハードウェアとソフトウェア・エンジニアリングにおける最高の頭脳が組み合わされば、ハードウェア・メーカーに加えて、制作者、ディストリビューター、ファン、放送局にも力を与える機会が生まれます。音楽業界と嗜好性の高いオーディオ業界の両方に利益をもたらすと信じています」

 一連の発表は、昨年買収したMQAを同社のBluOSやコンテンツビジネスとどのように関連付けて運営していくかの方向性を明確にしたように思える。レンブルック・メディア・グループのリーダーとして元MQAのCEOを置いたのは、その強い結びつきが感じられるが、一方では先述したようにMQAの独立性も重視しているという表明のように思える。

 レンブルック・メディア・グループはCES 2024に参加して関係各社とコンタクトを取る予定とのことだ。

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