東北大学の研究チームは、マウスを用いて、精子におけるマイクロRNAを網羅的に解析し、加齢による精子のプロファイル変化を明らかにした。さらに、それらの変化が神経発達障害に関連する遺伝子の制御に関わる可能性を見い出した。マイクロRNAは細胞内に存在する20塩基程度の小さな核酸で、対応する配列をもつメッセンジャーRNAに結合することによって遺伝子を制御することが知られている。
東北大学の研究チームは、マウスを用いて、精子におけるマイクロRNAを網羅的に解析し、加齢による精子のプロファイル変化を明らかにした。さらに、それらの変化が神経発達障害に関連する遺伝子の制御に関わる可能性を見い出した。マイクロRNAは細胞内に存在する20塩基程度の小さな核酸で、対応する配列をもつメッセンジャーRNAに結合することによって遺伝子を制御することが知られている。 研究チームは今回、月齢3カ月、12カ月、20カ月のマウスの精子のマイクロRNAを比較し、量が変化していたマイクロRNAを同定した。その結果、加齢とともに精子の種々のマイクロRNAが変化していることがわかり、それらの中には神経系に関わる遺伝子、特に自閉症スペクトラム症に関わる遺伝子を制御するものがあることがわかった。さらに、変化したマイクロRNAには、受精卵へ移行すると報告されているものが含まれていることも示唆された。 今回の研究結果は、加齢精子に含まれるマイクロRNAが子どもの神経発達障害の発症リスクに影響を与える可能性を示すもので、神経発達障害のメカニズム解明ならびにリスク診断や予防法の開発につながることが期待される。研究論文は、2023年12月7日に科学誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)に掲載された。(中條)