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このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第455回

山根博士のグロスマレビュー

中国製チップで5G対応(?)のファーウェイ「Mate 60 Pro」はやはりカメラが強力

2023年12月13日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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ファーウェイ「HUAWEI Mate 60 Pro」

 「iPhone 15」シリーズの発表直前にファーウェイが中国で発表した「Mate 60」シリーズはスペックの一部が隠された状態で発売されるという、異例とも言える販売を行なっている。アメリカ政府の制裁を受け、5Gスマートフォンの製造ができないファーウェイだが、このMate 60シリーズは非公式ながら5Gに対応し、高性能なカメラを搭載したフラッグシップモデルだ。今回はシリーズ中核モデルの「HUAWEI Mate 60 Pro」を香港でレビューした。

◆ハイブリッドボディーの上質なデザイン

 HUAWEI Mate 60 Proは6.82型(2720×1260ドット、120Hz)のLTPO OLEDディスプレーを搭載する。ディスプレー表面はファーウェイが開発した強化ガラス「Kunlun Glass」の第2世代モデルで覆われており、傷への耐性をさらに高めている。フロントカメラは1300万画素で、TOFカメラとセンサーを合わせ3つのパンチホールが並ぶ。

 iPhoneのDynamic Islandのような形状にしなかったのは、非表示エリアをなるべく少なくするためだろう。

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3つのパンチホールを備えたディスプレー

 背面は上側の2/3をヴィーガンレザー、下部側を金属素材としたハイブリッド仕上げ。淡いパステル系の仕上げは上品な印象で、男性・女性どちらにも受けるカラーリングと言えそうだ。カメラはメインの広角が5000万画素で絞り可変式、超広角が1200万画素、3.5倍の望遠が4800万画素となる。

 なお、上位モデルの「HUAWEI Mate 60 Pro+」は4800万画素+4000万画素+4800万画素と超広角カメラの画素数を高めている。

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ハイブリット素材のボディーにトリプルカメラを搭載

 本体サイズは約79×163.7×8.1mm、重量は約225g。カラバリは今回レビューするパープル以外にグリーン、ホワイト、ブラックの4色があり、いずれも背面はハイブリッド素材仕上げだ。右側面の電源ボタンにはファーウェイのコーポレートカラーの赤のラインが入っている。

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8.1mmの薄型ボディー

 バッテリーは5000mAhで88W充電に対応、100%充電に要する時間は30分だ。またワイヤレスでも50Wの急速充電に対応する。手に持ってみると背面は左右対称デザインであり、写真撮影する際にアングルを自由に決めやすい。側面の角を丸めているため、ホールド感も高い。

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5000mAhバッテリー内蔵、左右対称デザインは使いやすさも感じられる

 高性能なカメラを搭載しているが、カメラバンプのでっぱり部分はほとんど気にならない高さだ。ケースをつければこのでっぱりはほぼ目立たなくなるだろう。なお上位モデルのHUAWEI Mate 60 Pro+もカメラバンプのサイズは変わらない。

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カメラのでっぱりは気にならない

◆HarmonyOS 4搭載、通信速度から5G対応を確認

 OSはファーウェイ独自開発のHarmonyOSで、搭載されているのは最新バージョンのHarmonyOS 4だ。ファーウェイの音声AI「Celia」の性能が強化されたほか、同OS採用の他のデバイスとの接続性も大きく進化している。アプリケーションをそのままウィジェット化し重ねて表示するなど使いやすいUIも健在だ。

 なお、HarmonyOSはOS構造を分散化しており、IoT機器などメモリー容量の少ないデバイスにも必要なモジュールのみを搭載できる。たとえば、10月に日本でも発売したウェアラブルデバイス「HUAWEI Eyewear 2」にもHarmonyOSが搭載されている。

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HarmonyOS 4のホーム画面。アプリをウィジェットとして配置、そのウィジェットを重ねることもできる

 HUAWEI Mate 60 ProのチップセットはKirin 9000sを搭載する。ただし、ファーウェイはチップセット情報を公開しておらず、海外の調査機関が端末を分解して同チップであることが確認されている。システム情報にもチップセット情報は表示されていない。それどころかモバイルデータ通信の設定を見ると、一般的なスマートフォンやほかのファーウェイスマートフォンでは見られる通信方式の切り替え設定もない。

 現在市販されているスマートフォンは「5G優先」や「5G/4G/3G/2Gオート」のように、通信モードをを固定したり優先する設定ができるが、HUAWEI Mate 60 Proではその設定項目すらないのである。つまり、端末が5Gに対応しているかどうかも設定画面からはわからない。これは大手メーカーの上位モデルとしては異例と言えるだろう。

 なお、衛星通信にも対応しており、中国国内ではキャリアの電波がない場所でも衛星経由でSMSの送信が可能だ。

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デュアルSIM対応だが通信方式は不明。衛星通信に対応

 設定画面からは中国の認証情報も確認できる。ベンチマークを測定したところAnTuTuで693724という結果だった。Kirin 9000sのベースアーキテクチャは3年前、2020年10月に発売になった「Mate 40」シリーズ搭載のKirin 9000であり、当時のクアルコムのハイエンドチップセットであるSnapdragon 865相応であることを考えると、このスコアは妥当といえるだろうか。

 ただし、1年前にファーウェイが発売した「HUAWEI Mate 50 Pro」はSnapdrago 8+ Gen 1 4Gを搭載しており、CPUやGPU、NPU性能では前モデルよりスペックダウンしている。

 5G対応が不明のため、香港で5G契約のSIMカードを入れて速度テストをした。試用する時間が短く速度テストは数ヵ所でしかできず、またブラウザーを使っての計測となったことから、測定できた最高速度は下りが約230Mbps。この速度だけ見ると4G接続のようにも見えるが、同じ場所で同じHUAWEI Mate 50 Proでの4G接続速度は50Mbps前後だった。相対比較からHUAWEI Mate 60 Proのこの速度は5Gに接続していると判断していいだろう。

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AnTuTuスコアはKirin 9000相当。通信速度は比較から5G接続と判断

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