アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は11月28日(現地時間)、ラスベガスで開催中の「AWS re:Invent 2023」の基調講演で、企業向けAIチャットボット「Amazon Q」を発表した。
ビジネスに特化した対話型アシストを提供
Amazon Qはビジネス向けに特化して設計されており、AWS上のアプリケーションを利用しているユーザーに対して、アプリケーションやワークロードの構築、展開、運用などの支援を会話形式で提供する。
ユーザーはAWS管理コンソール、ドキュメントページはもちろん、各種IDEやSlackなどサードパーティのチャットアプリケーションを通じて、会話形式のインターフェースでAmazon Qにアクセスできる。
また、企業が独自システムで保持するデータやコードなどに基づいた迅速で関連性の高い回答、コンテンツ生成、およびアクションの実行も可能だ。
運用にあたって、特定の従業員やデータソースに対し応答を制限するための管理コントロールも用意されている。
AWS製クラウドサービスにも対応
さらに、「Amazon QuickSight」「Amazon Connect」「AWS Supply Chain」などAWSが提供するサービスやアプリケーションでもAmazon Qを利用できる。
統合BIツールのAmazon QuickSightでは、自然言語によるデータストーリーの構築、データに関する質問への回答、ダッシュボードやレポートの要約などを提供する。
コールセンターサービスのAmazon Connectでは、リアルタイムの会話に基づいて顧客の問題を検出し、担当者に応答やアクション、関連する記事へのリンクを自動的に提供する。
近日公開予定のサプライチェーン管理ツールAWS Supply Chainでは、自社のサプライチェーンデータに関する質問への回答、複雑なシナリオの結果を視覚化し、異なるサプライチェーン間のトレードオフを理解するためのフォローアップの質問をすることができる。
Amazon Qは現在プレビュー公開中。価格表によると業務支援などビジネス向け機能を提供する「Amazon Q Business」プランは月額20ドル(およそ2900円)。システム開発やプログラミング支援などITエンジニア向けの機能を追加した「Amazon Q Builder」プランは月額25ドル(およそ3670円)となっている。
なお、競合となるマイクロソフトの「Copilot for Microsoft 365」とグーグルの「Duet AI for Google Workspace」はどちらも月額30ドル(およそ4400円)だ。
マイクロソフト、グーグル、メタなどと比較してAI分野では少し遅れを取っていると思われているふしのあるアマゾンがいよいよ積極的にギアを上げてきた感触がある。
ちなみに「Q」という名前は、「007」シリーズ、もしくは「スタートレック」シリーズのキャラクターから取られているが、どのAWS幹部に尋ねるかによって回答は違ってくるようだ。