ついにポータブルストレージ容量の壁を破った!

イベントや撮影会で大活躍するSamsungの8TBポータブルSSD「T5 EVO」

文●飯島範久 編集●ASCII

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 最近は、ノートPCでもストレージ容量が1TBは当たり前の時代になってきた。とはいっても、それにともない保存したいデータの容量も大きくなってきているので、結局は容量が逼迫するのも時間の問題。クラウドストレージへ逃がしている人も多いと思うが、作業する際はローカルへ落とさなければならず、その手間が面倒だ。

 そこで活用したいのが外付けストレージ。ただ、モバイルノートPCの場合は持ち運びのことも考えてポータブルストレージを選びたい。最近はSSDで携帯性も上がり、容量も増えてきたが、Samsungからついに8TBの大容量ポータブルストレージSSD「T5 EVO」が発表された。

 これまでポータブルストレージとしては、2.5インチHDDを使った5TBモデルが最大容量だったが、その壁をSSDでようやく打ち破ったかたちだ。そんなT5 EVOを早速レビューしたい。

ついに8TBのポータブルストレージが登場。SamsungからのSSD「T5 EVO」のパッケージ

携帯性に優れたエルゴノミクスなデザイン

ボディはブラックで、メタルリングが付いた持ち運びやすさを意識したデザインになっている

 T5 EVOは従来の「T7」シリーズのような、平らでメタルボディーのデザインとは違い、片手で握りしめられるスティック状のエルゴノミクスデザインを採用。メタルリングにキーリングを装着して持ち運ぶスタイルも可能だ。

 サイズは40(W)×95(D)×17(H)mm。重さは102gで、スマホよりは断然軽い。2mの高さからの落下テストをクリアしており、耐久性が高く歩いていて落としたり、机などにぶつけたりしてもデータを損なうことはない。

 容量は、2TBと4TB、そして8TBの3モデルを用意。8TBはポータブルストレージとしては最大容量となる。インターフェースはUSB 3.2 Gen 1(5Gbps)なので、読み書き速度は最大460MB/秒。T7シリーズがGen 2(10Gbps)対応だったので、速度的には劣るが、そのぶん価格を抑えつつ大容量化に振った製品と言えよう。

USB 3.2 Gen 1対応だが、端子はUSB Type-Cを装備

付属のケーブルは、USB Type-C to Cタイプ

 また、ポータブルストレージなので、万が一の紛失時もセキュリティ機能を設定しておけば、アクセス時にパスワードによる解除が必要になり、情報漏えいを防げる。

ストレージ内に入っているソフトウェアでセキュリティの設定が可能

安定したファイルコピーを実現

 今回大容量の8TBモデルをお借りし、早速ベンチマークテストを行なった。まずは、読み書き速度を計測する「CrystalDiskMark 8.0.4」から。計測したマシンは、VAIO Z(Core i7-11375Hプロセッサー、16GBメモリー、512GB第4世代ハイスピードSSD)で、USB4に接続して実行している。

「CrystalDiskMark 8.0.4」での結果

 結果は、公称値どおりシーケンシャルリードは462MB/秒、シーケンシャルライトは465MB/秒を記録した。ランダムアクセスもリードで186MB/秒、ライトで149MB/秒と速めなので、データの保存・削除を繰り返してデータの並びが乱れても、大幅に速度が落ち込むようなことはなさそうだ。

 もう1つ、I/Oサイズを変化させたときの読み書き速度を計測する「ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2」も実行。結果は512KB以降、読み書き速度が最大で安定していた。

「ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2」での結果。ちなみに、このソフトウェアでは1GB=1024MB換算のため、少々結果は低く見える

 実際にファイルをコピーしたときの時間を計測してみた。1つ目は1枚あたり約80MBのRAWデータファイルを100枚分、合わせて約7.59GBをPCからT5 EVOへと、その逆のT5 EVOからPCへを行なっている。

 結果は、T5 EVOへのコピーは約25.2秒、PCへのコピーは約20.7秒だった。単純計算で平均転送速度は、前者が約301MB/秒、後者が約367MB/秒ということになる。

 また、デシタル一眼で撮影した4K動画のファイル約10.5GB(7分13秒)を同様にコピーしてみた。結果は、T5 EVOへのコピーは約32.8秒、PCへのコピーは約29秒だった。こちらも単純計算すると、平均転送速度は前者が約320MB/秒、後者が約362MB/秒となる。

ファイルのコピーにかかった時間の結果

 最後に、合計約100GBの動画ファイル98本ぶんを一気にコピーをしてみて、速度の低下が見られるか検証したところ、ほぼ転送速度のバラツキはあまりなく、安定してすべてのファイルの転送を完了している。

 また、Samsungが提供する「Samsung Magician」ソフトウェアで、コピー中の温度を確認したところ、アイドル時は35度で、コピー終了時には38度と3度ほどの上昇しか見られなかった。温度上昇による転送速度の劣化は皆無と見ていいだろう。

「Samsung Magician」ソフトウェアで温度を表示。合計100GBのファイルを一気にコピーしても温度上昇は3度ほどだった

大量に撮影した写真や動画をT5 EVOで整理

手のひらに収まるサイズで、握りやすく持ち運びやすい

 筆者は、イベントや撮影会などに参加して、デジタル一眼で撮影する機会がよくあるが、1回の撮影で数千枚に上ることはザラ。RAWデータで保存するため、撮影後にノートPCへ保存しようとすると、即逼迫してしまう。T5 EVOのように8TBの容量があれば、少なく見積もっても20数回分の撮影は保存できる計算なので、頻繁に移し替える必要もなくLightroomで現像作業も快適にできる。

 HDDに比べて読み書きが速い上に、持ち運びが楽なので作業する場所を選ばないところがいいSSD。それでいて大容量だから、ホットストレージはSSD、コールドストレージはHDDと使い分けていきたい。

 T5 EVOは、8TBモデルが8万9480円、4TBモデルが4万8480円、2TBモデルが2万6480円。8TBモデルはそれなりな価格だが、保証期間は3年なのでどーんと大容量を1つ所有して、すぐストレージ容量が足りなくなる生活に別れを告げよう。

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