MR自体、人を選ぶ機能ではある
また、MR体験は非常に目を引くものの、人を選ぶ機能ではあるなと思います。まず部屋の広さがないと普通に体験できません。筆者の仕事部屋のような本やら機材がそこら中に転がっている狭い部屋だと、MRが床を認識してくれないんです。2台並んでいる大きなパソコンの上部分を床と認識してしまって、現実よりもかなり高い位置に床面が設定されてしまいます(笑)。
メタのプレゼンや、レビューされているストリーマーの方の動画を見ていると、共通しているのはみんな部屋がきれいで広いというところなんですよね。
その上、MRによって誰もが使いたくなるユースケースがなかなか見えづらいという弱点もあります。YouTubeのデモ動画なんかを見ているとみんな部屋がきれいで広いんですよ。汚い部屋の動画は上がっていない。まあそれはそうだよなと思います。
メタの元CTOで、一時は一体型VRに情熱を燃やしていたジョン・カーマック氏は、MRがQuest 3の販売を押し上げることに対して以下のように疑問を挙げています。
「私はMRのアプリケーションがヘッドセットの売上を伸ばすエンジンになるという確信が持てないままだ。高品質なパススルーは素晴らしいが、レンダリングと現実世界の環境との統合を中心に構築されたアプリケーションが何らかのキラーアプリになるとは思えない」
I remain unconvinced that mixed reality applications are any kind of an engine for increasing headset sales. High quality pass through is great, but I just don’t see applications built around integrating rendering with your real world environment as any kind of a killer app. I…
— John Carmack (@ID_AA_Carmack) September 29, 2023
さらに、「MRの未来を示す高度に制作されたビデオでは、環境は常にスタイリッシュで、清潔で、広々としている。それは現実のユーザー層を代表するものではない。(MRの)その努力には確かに価値があるが、私はいつも、最初につかむべき果実はもっと低いところにあると思ってきた」(カーマック氏)とも述べています。
彼が言う「最初につかむべき果実」とはVRのことであり、そのゲームの充実であると考えていることは想像に固くありません。
それでも、メタが2年前に示した「距離や空間に関係なく、仕事でも、プライベートでもソーシャルを体験できる環境を作る」という原則を今も掲げ続けている以上、MRの有力なユースケースを模索する作業は今後も続けられていくのでしょう。
ただし、カーマック氏は「Quest 3は素晴らしいヘッドセットだ。(略)Quest 2からの大きなステップアップであり、コストパフォーマンスは高い。しかし、VR市場を本格的に成長させるにはまだ価格が高すぎる」として、高額さを批判しつつもQuest 3を評価しています。
Quest 3 is a great headset. If you already have a Quest Pro you may find it less comfortable, and you do lose eye and face tracking on your avatar, but it is a big step up from Quest 2, and a good value for the money. The price is still too high to really grow the VR market.
— John Carmack (@ID_AA_Carmack) October 17, 2023

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