過去最多都市参加で協働と連携の機運高まる「第9回 東日本連携・創生フォーラム」レポート

文●ASCII編集部

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 10月26日、さいたま市と連携自治体は、パレスホテル大宮(さいたま市大宮区)にて、東日本の各都市の連携による地方創生及び地域の活性化に向けた成果報告と今後の取組について協議する「第9回 東日本連携・創生フォーラム」を開催した。

過去最多30都市参加で行われたフォーラム

 「東日本連携・創生フォーラム」は、平成27年から東日本の北陸新幹線及び北海道新幹線沿線自治体の首長が参加し、経済・観光事業等における連携を促進するための取組を協議する場として開催され、今年で9回目。

 現在本フォーラムへ加入しているのは、札幌市、函館市、小樽市、青森市、八戸市、盛岡市、岩手町、仙台市、秋田市、山形市、福島市、会津若松市、郡山市、宇都宮市、小山市、那須塩原市、みなかみ町、新潟市、三条市、魚沼市、南魚沼市、高岡市、氷見市、南砺市、金沢市、小松市、長野市、上田市、福井市、さいたま市の30都市と過去最多。このうち、20都市が本会議に出席した。

各都市の首長が対面とオンラインのハイブリッドで参加

 対面とオンラインのハイブリッド形式で行われ、函館市、青森市、会津若松市、さいたま市、みなかみ町、新潟市の6都市の代表は対面にて会場参加した。

さいたま市・清水勇人 市長

函館市・大泉潤 市長

青森市・堀真 東京ビジネスセンター所長

会津若松市・室井照平 市長

みなかみ町・阿部賢一 町長

新潟市・関川丈彦 経済部営業戦略室長

 会場となるパレスホテル大宮には、さいたま市の関係者と、一部マスコミ取材陣のみが入場できる形式で行われたが、同時にYouTubeを利用した生配信が行われ、誰でも自由に視聴が可能だった。

 本フォーラムで新たな取り組みとして議題に挙がったのは以下の2項目。

(1) ワーキンググループの設置について(さいたま市)
(2) 東日本の食材の販路拡大について(さいたま市)

 また、これまでに行われている連携事業の進捗・成果として、以下の6項目についての報告がなされた。

(1)広報紙連携について(福井市)
(2)「戦国の城」「安らぎの景色」をテーマにした連携について(福井市)
(3) 東日本ウェブプロモーション及び共同PRについて(さいたま市)
(4) プロサッカーチームと連携した会津ブランド商品の開発・販売について(会津若松市)
(5) まるまるひがしにほんの利用状況について(さいたま市)
(6) 東日本連携推進協議会について(東日本連携推進協議会)

 これに加え、福井市から、北陸新幹線福井開業に向けた大規模イベント等の紹介も行われた。

提案された新たな取り組み

■ワーキンググループの設置について

 さいたま市の清水勇人市長より提示された「ワーキンググループの設置について」の発表は、令和4年度の東日本連携観光部門課長会議にて挙がった同案を具体化するというもの。連携に参画している観光セクションの中でも、特にインバウンド、SNS連携・活用、スポーツという3つの注力分野に対しワーキンググループを設置し、各グループごとに参加都市を募集。令和5~6年度に掛け、1年間の活動・成果を報告するといった内容。ワーキンググループで得た知見を、他の連携自治体にも共有し、波及効果を狙うという。

 インバウンドをテーマにしたワーキンググループでは、会津若松市をリーダーとし、秋田市、福島市、さいたま市、魚沼市、氷見市の6都市が参加。SNS連携・活用グループでは、南魚沼市をリーダーとし、山形市、仙台市、福島市、宇都宮市、那須塩原市、三条市、高岡市、南砺市、小松市の10都市が参加。スポーツグループでは、さいたま市をリーダーに、みなかみ町、福井市の3都市が参加し、それぞれ活動していくこととなる。

■東日本食材の販路拡大について

 さいたま市・清水勇人市長より挙げられた議題の2件目は「東日本食材の販路拡大について」。各地域の特産品や食材について、連携参加自治体の他の地区での販路拡大を目指す取組で、これまでさいたま市と連携自治体との協働により成果を上げてきた取組を元に、食材フェア・商談会へのさらなる参加自治体の拡大、「まるまるひがしにほんの店」登録制度のような新事業の提案・試行・実施などを模索する。

 どちらの提案も、多くの賛成票を持って実施が採択された。

過去に採択された様々な取組の成果

 一方、これまで実施されてきた取組についての報告では、各自治体から、成果を挙げた数々の事例が報告された。

■広報紙連携について

 福井市から報告された「広報誌連携について」では、令和4~5年度に実施された本事業の概要について発表。会津若松市、宇都宮市、上田市、さいたま市、みなかみ町、南魚沼市、福井市のイベント情報等を相互の広報誌に掲載することで、人流促進効果を期待した取り組みについての成果報告がなされた。

 令和6年度以降の取り組みでは、参加自治体情報を掲載したデジタル冊子の制作やデジタル冊子のQRコードを各自治体の広報紙面に掲載することなどを検討中とのこと。

■「戦国の城」「安らぎの景色」をテーマにした連携について

 さらに、福井市からの「『戦国の城』『安らぎの景色』をテーマにした連携について」の報告があった。令和6年春に北陸新幹線の福井県内延伸に向けての取組で、沿線参加都市との連携事業による相互人流拡大を目指す。具体的には、参加4都市(みなかみ町・さいたま市・金沢市・福井市)がそれぞれに、「戦国の城」「安らぎの景色」をテーマとしたコレクションカードを配布し、収集を目的とした周遊を促す。当該コレクションカードには、日本全国の観光地スポットをテーマにした全国統一フォーマット「ロゲットカード」を採用している。

■東日本ウェブプロモーション及び共同PRについて

 続いての報告は、さいたま市から「東日本ウェブプロモーション及び共同PRについて。東日本連携自治体の情報を広く発信しているウェブサイト「つなぐ旅-東日本- ひがしにほんトラベルガイド」のPV数、X(旧ツイッター)アカウントフォロワー数やYouTubeでのプロモーション生配信の視聴数などの報告があった。

■プロサッカーチームと連携した会津ブランド商品の開発・販売について

 会津若松市からは「プロサッカーチームと連携した会津ブランド商品の開発・販売について」の報告がなされた。さいたま市を本拠地とするJリーグサッカーチーム浦和レッズとのコラボ商品の開発を行い、会津若松市とさいたま市の連携をアピール。イオン浦和美園店にて、ライセンスを受けた浦和レッズカラーのあかべこの販売と併せ、会津フェスタの開催や物産コーナーを設置するなど、会津ブランドの首都圏エリアでの認知・付加価値向上に貢献した。

■まるまるひがしにほんの利用状況について

 このほか、さいたま市大宮区にある東日本のシティプロモーションやビジネス交流などを目的とした東日本の魅力を発信する施設「まるまるひがしにほん」の利用状況についての報告があり、令和4年度は年間来場者数が過去最高を記録し、実施されたフェア等の各種イベントも盛況を博したことなどが報告された。

■東日本連携推進協議会について

 「東日本連携推進協議会について」では、大宮駅周辺の大型商業施設等の連携から立ち上がった「東日本連携推進協議会」での取組が報告され、グルメフェアやうまいものSHOPの事例、大宮駅周辺の回遊促進を目的とした謎解きイベント「大宮からの挑戦状」などの取組が紹介された。

福井市の大規模イベントや
三陸・常磐ものネットワークへの参画など情報共有も

 最後に、情報共有として、福井市から、「北陸新幹線福井開業に向けた大規模イベント等」も紹介。

 さらに、東日本大震災で深刻な被害を受けた三陸・常磐地域の水産業の本格復興や持続的発展を後押しする官民連携プロジェクト「三陸・常磐ものネットワーク」へのさいたま市の参画も報告され、各連携自治体へ参加を呼びかけた。

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