【後編】クランチロールCOO ギータ・レバプラガダ氏ロングインタビュー
日本アニメだけで有料会員数1200万人突破した「クランチロール」が作る未来
2023年10月15日 15時00分更新
■日本でも連携を深める
―― ソニーグループの吉田会長 CEOは2023年の決算会見で、「クランチロールとアニプレックスとの連携を通じて、海外市場でのビジネス展開に力を入れる」と語りました。2社はそれぞれどんな分野を得意としていますか。また、両社が連携することでどんな展開が可能になるとお考えでしょうか。
ギータ アニプレックスは日本でのアニメ制作に強く、クランチロールはアニメを世界各国に合わせた形で配信しています。アニプレックスとの連携ですが、一例としてクランチロールとアニプレックスの共同製作作品である『トモちゃんは女の子!』(星海社COMICS原作)を挙げさせて下さい。
それぞれのチームが製作の早い段階から協力し合うことができたため、英語吹き替え版を日本での放送と“同時に”配信することができました。これは素晴らしいことです!
また、『トモちゃん』日本語版でキャロル・オールストン役を演じている声優・天城サリーさん(アメリカ出身の日本人声優)には、英語吹替え版でも同じキャロル役を演じてもらうことができました。サリーさんはクランチロール・アニメアワードの司会も担当してくださいました。
―― 御社は「現地言語による吹替え版」の作成に力を入れています。現地言語の吹替え版を作るには、アニメ完成→現地言語への翻訳→現地声優によるアフレコ、といった段階を踏むため時間がかかります。日本と同時刻に配信するには、日本のアフレコと同時期か、もっと前の段階から翻訳作業にかからなければ実現しない。それが「両社の連携」ということですね。
ギータ そうなんです。アニプレックスとの連携ではもう1つ、『俺だけレベルアップな件』があります。韓国の小説とWEBTOONが原作で、クランチロールが製作を担当し、アニプレックスが運営するスタジオA-1 Picturesがアニメ制作を担当しています。こちらも2024年冬の放送・配信が待ち望まれている作品です。
―― アニプレックス以外にも、日本との共同制作への参入も興味深いところです。2021年からフジテレビのアニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」など、近年は勢力的に製作委員会に参加、出資をされていますね。
■クランチロールが見ているのは“日本”だけではない。だけど一緒に成長していけたら
―― これまで“日本アニメ”の価値をお話いただきました。では、“日本である価値”はいかがでしょうか。近年では日本以外の国でも日本風のマンガ、アニメは制作されており、日本アニメは日本でなくても作れる状況にあります。御社にとって、日本アニメの供給場所という特徴を抜いた日本の位置づけをお聞かせ下さい。
ギータ 我々としてはファンが求めているものを提供できればいいなと思っています。アニメファンが我々のプラットフォームで観たいという作品があれば、それを提供したい。
そのなかにはアニプレックスと共同で製作している韓国原作作品もありますし、K-POPのBTSがフューチャリングされたアニメ『BASTIONS』などもあります。またカタログという点では小さいのですが韓国などで作られたアニメも配信しています。
多様な作品が生まれ、面白い時代に入っていると思います。アニメ作品のラインナップは幅広いほうが、グローバルな視点で見るとこれからの可能性が広がるでしょう。
―― アニメを作る国がどこかは問わない?
ギータ アニメ自体が本当に大きく成長していますから、日本のアニメ制作サイドも、アニメと一緒にさらに成長してほしいと私たちは考えています。クランチロールは、日本アニメのエコシステムをサポートしたいと常に考えています。
そのための施策の1つが、アニメの制作サイドとのレベニューシェア(印税方式)契約です。視聴数が多ければ、印税という形でアニメ製作委員会に収益を還元する形にしています。
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