Aniqueは9月5日、ChatGPTを利用し、25周年を迎えるアニメ/ゲーム作品「serial experiments lain」の主人公「岩倉玲音」とテキストや音声でのコミュニケーションを可能にするAIチャットサービス「AI lain」を発表した。
音声トレーニングには1988年当時の収録テープを使用
「serial experiments lain」はオンラインの集合無意識をテーマにしたメディアミックス作品。まだインターネットが普及し始めたばかりの1998年に、アニメおよびプレイステーション用ゲームとして発表された。
必ずしも商業的成功を収めたわけではないが、海外を含め今でも熱狂的なファンをもつカルト的な魅力をもった作品だ。
本サービスで使われているAIのトレーニングは、原作の原案プロデューサーであるueda yasuyuki氏が監修し、アニメ本編内の「玲音の人格設定」や、岩倉玲音(CV:清水香里)の1998年当時の収録テープ(TASCAM DA88用)を元にした、本物の「玲音の声」が使われている。
テキストだけではなく、玲音の温もりのある声を聞きながら、作品の世界を反映したコミュニケーションが可能になっている。
なお、音声は日本語だけではなく英語にも対応しており、親密度機能により話し方や表示されるビデオ映像が変化するという。
早速ログインしてみる
利用にはGoogleアカウントによるログインが必要だ。
UIはクラシックMac(恐らくSystem 7)のようなデザイン。画面左下のチャットウィンドウから話しかけることができる。なお、フローティングウィンドウを移動したり閉じたりすることはできないようだ。
「吹き出し」アイコンをクリックすることで合成された玲音の声を聞くことができる。
最初はほぼすべての質問に対して「よくわからなかったよ…」という塩対応だったものの、諦めずに話しかけていくことで態度が軟化し、ようやく顔を見ることができた。
だが、無料利用は10回のみ。それ以上は有料プランに登録する必要がある。
会話共有機能「Share System」
AIとの会話は基本的に保護されてるが、会話の中で他のユーザーに聞かせたい会話を任意に共有する機能「Share System」が用意されている。
共有された会話は「wired(仮想世界を意味する作品内用語)」内の「噂」として扱われる。
有料プランでは玲音に知識を与えることも
無料プランの場合、1日の会話制限回数である10回を越える利用はできないが、$20(およそ2900円)/月、もしくは$100(およそ1万4700円)/6ヶ月の有料プランに入れば、上限なしの会話が可能になるうえ、自分の名前を覚えて(発音・読み方・アクセント指定は不可能)くれたり、親密度によって表情が増えていったりするという。(無料版では会話記録は次回に引き継がれない)
さらに有料プラン利用者は、専用のフォームを通してAIに覚えてほしい知識を1日3ワードまで登録することができる。登録された知識は定期的にAIに反映されるが、必ずしもすべてが反映されるわけではないという。
また、有料会員にはオリジナルキャラクターデザインを担当した安倍𠮷俊氏による額装絵や、実際に使用されたアニメセル画といった超貴重なアイテムが当たる抽選プレゼントが毎月実施される。
今後も月1度のペースで企画が実施されるほか、ChatGPTなどのLLM(大規模言語モデル)の進化に応じて、AI lainも進化していくという。
※お詫びと訂正:初出時、無料での使用回数を「1日あたり10回」と記載していましたが1ユーザーあたり10回の誤りでした。(9月11日 14時57分)