このページの本文へ

内部も筐体も刷新

VAIO、2023年版の「VAIO S13」を発表、重さほぼ1kgで16:10液晶

2023年08月29日 10時00分更新

文● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
VAIO S13 2023年モデル

 VAIOは8月29日、「VAIO S13(VJS135)」「VAIO Pro PG(VJPG31)」の受注を開始した。最短出荷日は9月8日。価格はオープンプライス。(2023年版「VAIO S13」のレビュー記事も掲載

VAIO SXとVAIO Fの中間でバランス重視

 VAIO S13は、13.3型で縦横比16:10(解像度1920×1200画素)の液晶ディスプレーを採用。重量1kg前後(約1072~1084g)で価格と性能のバランスを重視したモバイルノートPC。高性能・高信頼性を提供する「VAIO SX」シリーズ、新しいスタンダードを標ぼうする「VAIO F」シリーズの中間的な位置付けとなり、ビジネス向けモバイルノートPCに必要な機能はすべて備わった“アドバンストモデル”となっている。

 CPUはVAIO Fシリーズと同じ、U型番の第13世代Coreプロセッサーを搭載。内部設計(レイアウト)はVAIO Fシリーズと多くの部分を共通化し、設計期間の短縮とコスト削減に取り組んだという。一方で筐体については、従来のVAIO SシリーズやVAIO SXシリーズを踏襲したものとし、軽量性や堅牢性などの特徴を継承している。ただし、2023年版VAIO Sの画面は16:10と2022年版のVAIO S13の16:9(1920×1080画素)より縦方向が広いため、内部も外観もイチから作り直している。ウェブブラウザーやExcelなどの表示に余裕が出る点は、ビジネスユースで有利だろう。

VAIO S13 2023年モデル

内部。VAIO F14とレイアウトを共通化。CPUの置き場所、電源回路などのほか、バッテリー、ファン、基板、インターフェースなどを共通化して設計期間の短縮を図っている。基板についてはLTEなしモデルはVAIO F14やVAIO F16のものを流用。ただし、LTE搭載モデルは異なるものとなっている。

 本体の奥行きは、液晶パネルサイズが一回り大きいVAIO F14と同等で幅は20mm以上コンパクト。本体サイズは約299.3×221.1×19.6mm(最薄部17.7mm)だ。カバンに収めやすいのはもちろんだが、オフィスの袖机にも入れやすく、新幹線や飛行機などのテーブル、あるいはテーブルの幅や奥行きが狭いカフェなどでの作業がしやすくなっている。バッテリー駆動時間も約21.5時間(JEITA 2.0測定基準)と、VAIO F14の約16時間より長く設定されている。

VAIO S13 2023年モデル

左がVAIO F14、右が2023年版のVAIO S13。奥行きはほぼ同じで、本体の横幅が20mmほどコンパクトになっている。

技術的なこだわりも多数

 一方で、VAIOならではのこだわりも継承。そのひとつが、ディスプレー部に仕込んだアンテナだ。アンテナは机からの反射を受けにくい高い位置に置くのが最上という思想の元、無線LANやWANのアンテナは最も高い位置に置いている。2023年モデルでは、液晶パネルの上部にあるベゼル(トップベゼル)が狭くなっているが、無線LANとWANを混合アンテナ化することで対応。さらに、VAIO SX14では法人向けモデルだけのオプションだったデュアルSIM(4G nanoSIM+eSIM)を個人向けモデルでも展開する。SIMカードの抜き差しが不要のeSIMは、契約したらすぐ使えるという利点があるほか、法人用途では紛失や故障リスクを低減できるというメリットを持つ。

VAIO S13 2023年モデル

個人向けモデルもデュアルSIMに対応。

VAIO S13 2023年モデル

Wi-FiチップとLTEチップのアップ。アンテナは4本のケーブルがあり、右上の部分で2本ずつ分岐させている。

VAIO S13 2023年モデル

アンテナ。間に金属片が付いているが、これは配線中に要所要所でGNDを落とすためだという。

VAIO S13 2023年モデル

VAIO S13 2023年モデル

このようにベゼルを通してアンテナ配線をする。

ブロンズカラーに注目

 カラーはブロンズとブラックの2色展開。ブロンズはVAIOならではのカラーだが、VAIO S13など、13.3型の機種で採用するのは初だという。同じブロンズでもカラーは調色し直しており、フラットアルミパームレストなどの質感がVAIO SX14とは微妙に異なっている。

VAIO S13 2023年モデル

左がVAIO S13、右がVAIO SX14。同じブロンズモデルだが、色合いや質感は微妙にこだわっている。このあたりもVAIOのこだわり。

VAIO S13 2023年モデル

ヘアラインの深さによる違い

VAIO S13 2023年モデル

落ち着いたブロンズはこだわりの調色。特にこだわったのが、パームレストだという。ヘアライン、プレス、化学研磨、アルマイト層生成、着色/封孔処理という工程を経るが、ヘアライン圧による輝度の違い(深さによる違い)、染料の配合による色合いの差、染色時間による輝度の違いなどで差が出る。何10種類もサンプルを作って、一番マッチするものを選んだ。高級感のある輝度と発色にし、それに合わせて別の部材の色を合わせているという。

 堅牢性については、ハイエンドのVAIO SX14などと同等のテストをクリア。キートップについてもUV硬化塗装、摩耗と皮脂油によるテカリ防止など高耐久で汚れにくいものにしている。

VAIO S13 2023年モデル

 また、性能とは直接関係ない部分だが、液晶パネルを除く、外装の50%を無塗装化し、ベゼル、ヒンジカバーに再生材を使用。梱包材もポリ袋ではなく、紙などを使用してリサイクル性を高めている。もちろん、長野県の自社工場で全数検査を実施してから出荷する“安曇野FINISH”に対応。

 TNR(Temporal Noise Reduction)で高画質化したカメラモジュールはVAIO SXやVAIO Fシリーズと同様。また、VAIO SXと同じ美肌効果も追加している。

 顔認証と指紋認証を両採用、プライバシーシャッターなどを装備している。

CPUはUプロセッサー、vPro搭載モデルも用意

 CPUはインテルの第13世代Coreプロセッサーで、省電力性に優れたU型番となっている。VAIO SXシリーズは性能を重視したP型番となり、異なる部分。個人向けのVAIO S13と法人向けのVAIO Pro PGで選べる型番が異なる。大企業向けのポイントはVAIO初のvPro準拠、BIOSやファームウェアの改ざんに強いSecured-core PCを用意している点で、9月下旬以降の出荷モデルに採用する。

【個人向け:VAIO S13】
CPU:Core i7-1355U(10コア:Pコア2基、Eコア8基)
CPU:Core i5-1334U(10コア:Pコア2基、Eコア8基)
CPU:Core i3-1315U(6コア:Pコア2基、Eコア4基)

【官公庁中堅企業向け:VAIO Pro PG】
CPU:Core i7-1355U(10コア:Pコア2基、Eコア8基)
CPU:Core i5-1334U(10コア:Pコア2基、Eコア8基)

【大企業向け:VAIO Pro PG】
CPU:Core i7-1365U(10コア:Pコア2基、Eコア8基)
CPU:Core i5-1345U(10コア:Pコア2基、Eコア8基)

 メモリーは8GB、16GB、32GBが選べるが、Core i7は16GBまたは32GB、Core i5は8GBまたは16GB、Core i3は8GBとCPUに沿って搭載可能なメモリーが異なる。SSDは256GB、512GB、1TBの3種類でスタンダードタイプ(PCIe接続)のみとなる。このあたりはVAIO SXシリーズと差別化されている部分だ。

VAIO S13 2023年モデル
VAIO S13 2023年モデル

 なお、インターフェースは右側にUSB Type-C、USB 3.0×2、HDMI、有線LAN、左側にUSB 3.0、ヘッドホン/マイク端子、電源入力を持つ。USB Type-C端子は、LTE搭載モデルやvPro対応モデルでは、Thunderbolt 4/USB 4対応となっている。それ以外はUSB 3.1と差が付く。とはいえ、USB Power Delivery充電やDisplayPort 1.4の画面出力はともに可能なので、実用上の差はあまりないかもしれない。スペックはVAIOストアの直販などでカスタマイズ可能だが、ソニーストアではLTEモデルの選択ができなくなった。

VAIO S13 2023年モデル

脱着が簡単な覗き見防止フィルター。

 オプションとして、覗き見防止フィルターを用意。専用開発の純正品ということもあり、脱着が容易なツメを用意するなど使いやすい。

訂正とお詫び:スペック情報の一部を修正しました。(2023年8月29日)

■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン