2023年6月29日から7月2日にかけて実施されたジャパンゴルフツアー「セガサミーカップ」で、新しいゴルフ観戦体験「ゆるセガサミーカップ」が実施された。この取り組みのポイントとなるのが「デジタルツイン」と呼ばれる技術。では、デジタルツインとはどんな技術で、今後どのような活用が期待されているのだろうか。
そもそも「デジタルツイン」とは
「デジタルツイン」とは、現実世界にあるロケーションやオブジェクトをデジタル空間上に再現する技術。たとえば渋谷の街並みを再現し、そこに大きなビルを建設するとどうなるのかなど、現実を模した世界でさまざまなシミュレーションを行なうことができる。設計やロケーションの確認など、主に建築業界で活用されている技術だ。
一方、近年話題になっている「メタバース」は、現実では難しいような世界をバーチャル上に再現し、その中で自由に動いたり、コミュニケーションを取ったりする技術。アンリアルな空間を楽しめるのが最大の特徴だ。
このように、デジタルツインは「リアルとバーチャルを融合させる技術(リアルの延長線を作る技術)」、メタバースは「バーチャル空間で完結する技術」と考えるとわかりやすいだろう。
スポーツや観光での活用が期待される新技術
ゆるセガサミーカップでは、「デジタルツインバース」というプラットフォームが用いられた。同プラットフォームは、現実世界とデジタルツインとで、「相互にリアルタイムなコミュニケーションを取ることができる」のが大きな特徴。つまり、デジタルツインとメタバース双方の「特徴」を兼ね備えたプラットフォームというわけだ。
デジタルツインバースを生み出し、「ゆるセガサミーカップ」も担当したワントゥーテンの二之形昌弘氏によると、「今回の取り組みでは、注目している組に終始追従するなど、通常テレビ観戦では難しい観戦を楽しんでいただくことができた」とのこと。
セガサミーカップが開催された「ザ・ノースカントリーゴルフクラブ」を模したバーチャルゴルフ場をつくり、ユーザーはPCやスマホからこのバーチャルゴルフ場にアクセス。通常配信では見られない視点でライブ視聴したり、ゲスト参加した配信者とコミュニケーションを取りながら観戦したりできた。
また、デジタルツインならば、通常はドローン撮影も難しい場所も見ることができる。デジタルツインバースを用いることで、確実に「楽しみ方の幅」が広がったといえる。
観光DX、地方創生での活用も行われている
デジタルツインおよびデジタルツインバースは、他のスポーツでも活用が期待されている。メジャーリーグのスタジアムを再現すれば、実際にスタジアムの座席にいないと見られない視点で試合を見られ、現地に行かないとわからない情報が得られる。デジタルツインだからこその楽しみ方も生まれるだろう。
また、二之形氏によると観光DX、地方創生での活用もすでに行なわれているとのこと。同社では、「デジタルツインバースを活用した現実空間のリアルタイム連動」をテーマに、実際の街並みや文化遺産をデジタル化するプロジェクトも進めている。
島根県大田市にある石見銀山のデジタルツインバースでは、バーチャル上で観光地を訪れるだけでなく、現地スタッフから観光案内を受けられるなど、バーチャル上でありながらもリアルなコミュニケーションを行なうことで、関係人口を増やしていくプロジェクトが進行している。
スポーツにおける新しい観戦体験の創出は業界の大きな課題だった。新型コロナの影響でその需要はさらに加速し、昨今はさまざまなスポーツ業界で課題解決に向けて新しい取り組みに挑んでいる。