東北大学などの共同研究チームは、脂肪燃焼を促進する人工受容体の開発に成功。この受容体が肥満治療薬の分子標的となる可能性を提唱した。
東北大学などの共同研究チームは、脂肪燃焼を促進する人工受容体の開発に成功。この受容体が肥満治療薬の分子標的となる可能性を提唱した。 研究チームは今回、G12タンパク質シグナル選択性を向上させたデザイナーGPCR(Gタンパク質共役型受容体)を開発。このデザイナーGPCRを脂肪細胞に発現する遺伝子組み換えマウスを用いることで、G12シグナルが、通常はエネルギーを貯蓄するタイプの脂肪細胞(白色脂肪)のエネルギーを消費するタイプの脂肪細胞(褐色脂肪)への転換を促進し、個体レベルでエネルギー消費が亢進することを明らかにした。 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は既存薬の約3割の作用標的となる重要な膜タンパク質であるが、G12とG13へとシグナル伝達を行うGPCRは解析が進んでおらず、これを標的とした薬は開発されていない。G12シグナル型人工受容体を用いた今回の手法論を用いることで、治療薬開発の効率化が期待される。 研究論文は、科学雑誌シグナル・トランスダクション・アンド・ターゲッテッド・セラピー(Signal Transduction and Targeted Therapy)に2023年8月21日付で掲載された。(中條)