楽天グループは8月2日、AI開発企業OpenAIとの間で、生成AI技術に関連した協業について基本合意に至ったと発表した。同日にはソフトバンクも、生成AI技術の活用を含む戦略的提携について日本マイクロソフトと合意したことを明かしているが、両社の事情はかなり異なるようだ。
楽天グループはOpenAIの技術を導入
楽天グループとOpenAIの協業については、シンプルに言えば楽天が「ChatGPT」に代表されるOpenAIの生成AI技術を導入するというもの。
協業に際して、楽天はグループの「Rakuten AI」から得た技術と知見をOpenAIにChatGPT製品開発用に提供。見返りとして、同社から最新APIの優先提供を受けることで、データ分析や在庫管理、業務の自動化といったビジネス分野での生成AI活用を進める。
8月3日時点ではまだ基本合意を結んだ段階であり、生成AIの導入スケジュールや、協業を活かした具体的な新サービスなどについては発表されていない。
ソフトバンクと日本マイクロソフトは法人向けの販売で提携
一方、ソフトバンクと日本マイクロソフトは、製品販売や生成AI領域において戦略的に提携。互いを「推奨サービスパートナー」に指定し、双方の製品やサービスを自社の顧客に対して積極的に提案する。
日本マイクロソフトでは今回の提携に際し、顧客のさまざまなニーズに対応できるよう「Azure OpenAI Service」などのAI関連製品を拡充。ラインナップを業種別に変更した。
ソフトバンクでは提携に合わせ、マイクロソフトのAIサービス「Microsoft 365 Copilot 」の導入を開始。今後、自社の法人向けソリューションとMicrosoft 365 Copilot を組み合わせての販売や、データ利活用コンサルティング事業でのマイクロソフト製品の利用も予定している。
現段階では具体化されている部分が少なく、まずは自社経済圏のAI最適化を優先しているようにも見える楽天と、法人顧客への積極的なシステム販売を掲げるソフトバンク。同じ生成AIを巡る動きでも、両社の目指すところは似て非なるものと言えるだろう。
なお、2023年1月の段階で、マイクロソフト(米国本社)はOpenAIの発行済み株式の内、49%を取得している。