Amazon Web Services(AWS)は7月30日、すべてのパブリックIPv4アドレスの利用に対して、2024年2月1日より1アドレスあたり0.005ドル/時間が課金されることを発表した。
1時間あたり0.005ドルは1日あたり0.12ドル、1ヵ月30日換算で3.6ドル(およそ510円)/月、年間で43.2ドル(およそ6160円)となる。
枯渇するIPv4アドレス
出典:Google
IPv4はインターネット上のデバイスがお互いに通信するための識別情報として用いられるIPアドレスのバージョンのひとつ。「xxx.xxx.xxx.xxx」という32ビットの整数で構成されており、理論的には最大で約43億のアドレスを提供することができる。
だが、インターネットで広く使われているIPv4アドレスは数に限りがあり、デジタルデバイスの増加にともない利用可能なIPv4アドレスの数が枯渇、12年以上前の2011年2月に管理団体からの配布が終了している。
この問題を解決するために開発されたのが、理論上全世界のすべてのデバイスに十分なIPアドレスを提供することができる、128ビットの数字で構成されたIPv6だ。
だが、IPv4とIPv6の間に直接的な互換性がなく、ハード・ソフト共に更新の必要があるため、移行はなかなか進まず、現在もIPv4とIPv6が共存するネットワーク環境が多く見られる。
このような事情からIPv4 アドレスはますます希少な資源となっており、高値で売り買いされている。AWSによると、パブリックIPv4アドレスを取得するためのコストは、過去5年間で300%以上上昇しているという。
AWSはリリースで「この料金体系の変更は私たち自身のコストを反映したものであると同時に、パブリックIPv4アドレスの使用をもう少し倹約し、お客様にサービスの近代化および保全対策としてのIPv6の採用を加速していただくことを検討いただくためのもの」と説明しており、移行のためのドキュメントを用意している。
AWS におけるパブリック IPv4 アドレスの使用状況の特定と最適化 (AWSブログ)
管理ツール「Public IP Insights」を無料提供
上記が新旧料金体系の比較表。以前は無料だったパブリックIPv4アドレスが有料になっていることがわかる。
ただし、Amazon EC2の無料利用枠として、2024年2月1日より、最初の12ヵ月間、月間750時間のパブリックIPv4アドレスを利用できるという。
また、利用者が所有し、Amazon BYOIPを使用してAWSに持ち込まれたIPアドレスには課金されない。
また、パブリックIPv4アドレスの使用状況を監視、分析、監査できるよう、管理ツール「Amazon VPC IP Address Manager」に新機能「Public IP Insights」を追加、無料提供を開始。
IPv4アドレスの効率的な利用ができるようになるだけでなく、複数のフィルタリングオプションを使用して、使用中のパブリックIPタイプとElastic IP(AWSが提供するIPv4アドレス)の内訳を確認することができるという。
使用中の各パブリックIPv4アドレスについても、確認、並べ替え、フィルタリング、詳細表示が可能。