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酸水素化物の超高圧合成に成功=東工大など

2023年07月28日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学、高エネルギー加速器研究機構、量子科学技術研究開発機構の研究グループは、アンモニア合成触媒や電池材料として期待が高まっている酸水素化物の超高圧合成に成功した。

東京工業大学、高エネルギー加速器研究機構、量子科学技術研究開発機構の研究グループは、アンモニア合成触媒や電池材料として期待が高まっている酸水素化物の超高圧合成に成功した。 研究グループは超高圧合成法(1200℃、2万気圧)で、2種類の新規ペロブスカイト型バナジウム酸水素化物を合成。減量となる物質を混合して反応させるだけでは狙い通りの化合物を作ることはできなかったが、狙った化合物の組成に影響しない塩化ストロンチウムを20質量パーセント加えることで、新規酸水素化物を選択的に合成できたとしている。 大型放射光施設SPring-8のBL14B1ビームラインを利用して、実際の反応の様子をその場観察X線回折測定で観察したところ、高温状態では添加剤を含む原料が溶けることで、反応容器内の物質が均一に混合され、選択的に反応が進行することが分かった。今回合成した物質が、酸水素化物としては初めてリチウムイオン電池の負極材料として利用できることと、高速充放電で高い性能を発揮することも確認した。 研究成果は7月25日、米国化学会誌(Journal of American Chemical Society)にオンライン掲載された。今回考案した合成法は、酸水素化物に限らず、さまざまな化合物の合成に利用できる可能性が高いとしている。

(笹田)

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