名前なら聞いたことがある人も多いかもしれない「Fairphone」が米国に進出する。環境に配慮した(Fairはフェアトレードのフェアから取られている)Fairphoneが米国でリリースするのは、プライバシーを重視するモバイルOS「/e/OS」を搭載した「Murena Fairphone 4」。環境とプライバシーの両方で米国のユーザーに訴求する。
循環型や持続性への意識が高いオランダ生まれのFairphone
筆者は7月1日から1週間オランダに滞在した。サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関連する取り組みを見せてもらったのだが、たとえば大手電力会社は、ビルを解体して作り替える際に、資材を完全に再利用していた。Fairphoneに似たコンセプトだ。この手法を提案したRAU建築事務所は、2025年の大阪万博のオランダパビリオンのパビリオンも手がけることになっている。
そのオランダで2013年に誕生したのがFairphoneだ。元々は非営利機関のプロジェクトとしてスタートした経緯を持つ。同社の詳細は過去の記事も合わせて参照してほしい(「PuzzlePhoneなど、組立式のモジュラースマホは2016年が元年になる!?」)。
Fairphoneにはじめて接したのはMWCでのこと。当時Androidの独占を懸念して、他の選択肢が必要という動きが残っていた。Fairphoneはそうした状況下でもやや異色で、スマホのハードウェアに用いられるコバルトなどが、アフリカなどの過酷な環境で採掘されていることに着目。廃棄物を出さず、壊れた部品は付け替え可能なモジュラー式というのが特徴だ。
当時は“とんがった”印象を持ったが、今回のオランダ視察でこの国の人たちにとってFairphoneのコンセプトが生まれるのは当然とも感じた。建物やスマホだけではない。オランダの「Tony's Chocolonely」はフェアトレードのチョコレート。人々はサーキュラーエコノミーを身近なこととして受け入れている。
持続性にプライバシーも加わった「Murena Fairphone 4」
さてそのFairphone、OSは基本的にはAndroidだ。今回米国でローンチするFairphone 4も、欧州では2021年秋にAndroid 11を搭載した機種としてリリースされている。
だが、米国で販売するMurena Fairphone 4はその点でも少し異なる。Murenaは「/e/OS」を開発するフランスの企業で、開発したのはMandarake(後の「Mandriva Linux」)の開発などで知られるGael Duval氏である。欧州のオープンソース界では著名な人物で、/e/OSはプライバシーを重視してグーグル製アプリを排除したAndroid/LineageOSのフォークだ。
Fairphoneとは2020年から提携関係にあり、Fairphone 3でも/e/OSを搭載した「Murena Fairphone 3」を提供済み(なお、Fairphoneは過去にJollaのSailfish OSをサポートしたこともある)。
モジュラー型で修理ができるなど、Fairphoneの特徴はそのままに、/e/OSによるプライバシーが加わる。デフォルトのアプリはすべてオープンソースであり、グーグル製アプリを使わない。
価格は、5Gに対応し、48メガ(イン25メガ)ピクセルのカメラ、6GBメモリー、128GBストレージのモデルで599ドル(約8万3000円)から。SIMフリーだが、T-Mobile、もしくはT-Mobileのネットワークを使うMVNOを推奨している。
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