変化するグローバルビジネス
取材してきたスリシティ工場は、パナソニック エレクトリックワークスが操業しているすべての工場のなかでもフラッグシップにあたる製造拠点。人が行き交う場所で自動運搬装置を走らせるなど、日本国内では安全上の制約があるところにも挑戦できる、製造技術の研究開発拠点としての性質も備えます。
今後はスリシティ工場の製造技術を日本や海外に展開することを目指したいといい、担当者は「これまでは日本の技術をインドに輸入してきたが、今度はインドで作ったものを逆に日本に輸出していきたい」と表現していました。
いよいよ人口が中国を抜いて世界一となり、めざましい経済成長を見せているインドでは、現地に工場を構え、旺盛な需要を支えようという地産地消の流れが進んでいます。たとえばシャオミは現地工場でスマホを生産・販売して、インドでトップだったサムスンからシェアを奪いました。現在はサブブランドの高性能モデルRedmiやPOCOが若者の人気を集めているそうです。今後はイヤホンなどオーディオ製品も現地で生産する計画だと報じられています。
(余談ですが、中高所得者層が増えたことで庶民の自動車ブランドとして人気だったスズキのシェアはじわじわ低下。ヒュンダイやキアなど韓国勢にシェアを奪われつつあります。スズキは対抗策として中高所得者層向けにトヨタOEMのSUV「INVICTO」を展開し、シェア奪還をはかっています)
そのなかでパナソニック エレクトリックワークスが見せる「逆輸入」の動きは興味深いものでした。日本の製造技術をアジアに輸出するとか、アジアで作った製品を世界に輸出するといった、これまでのグローバルビジネスとは異なる動きが出てきています。この動きが国内にどう影響するのか、今後も注目を続けます。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ。6歳児と2歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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※お詫びと訂正:本文内で「カッチ工場」となっていた箇所がありましたが、正しくはダマン工場の誤りです。関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びするとともに訂正します。(11日10時55分)

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