第13回衛星放送協会オリジナル番組アワード 番組部門ミニ番組最優秀賞「見上げてみよう、ぼくらのウチュウ」
子供に寄り添った番組作りを目指す姿勢から得られる大人向けの“学び”
2023年07月06日 17時30分更新
6月12日に「第13回衛星放送協会オリジナル番組アワード」の最優秀賞が発表され、番組部門ミニ番組では「見上げてみよう、ぼくらのウチュウ」(キッズステーション)が受賞した。
同番組は、宇宙の秘密を発信する“宇宙配信士”ウーチューバーを目指すことになった子供たちが宇宙にまつわる不思議を解き明かす、宇宙と地球の不思議に迫る教育バラエティー。「空はどこまで続いているの?」「星はいくつあるんだろう?」などのさまざまなテーマを元に、身近な疑問から宇宙と地球の姿を考えていく。
この番組のすばらしい点は、宇宙の秘密を発信する“宇宙配信士”ウーチューバーという架空の職業を設定し、そのウーチューバーを目指す子供のキャラクターが先生に教わりながら学んでいくというところだ。架空ながら現代の子供の就きたい職業ナンバーワンであるYouTuberを模した職業にすることで、子供たちの心を掴んで学びに参加させるシステムになっている。
また、先生と子供というシンプルで伝わりやすい構造とクイズ形式で情報を紹介することで、子供にとって身近過ぎて気付かない宇宙と地球について興味を持って楽しく学べる点も秀逸。中でも、子供のキャラクターが子供目線の意見を提示することで、あたかも自分もクイズに参加しているような臨場感を生み出して知識欲をくすぐる展開は見事だ。加えて、太陽と地球の大きさを風船やビー玉で表すような、あえてアナログな手法で制作された実験映像を用いる演出で、子供に寄り添う制作陣の優しさがにくい。
短い時間の中でこれほどまで子供に寄り添った番組作りに、思わず「さすがキッズステーション」とうなってしまうが、その一方でレトロなテイストのアニメーションが大人にも親近感を感じさせ、しっかりと「家族で楽しめる」というチャンネルのコンセプトをかたちにしている。
「子供と一緒に宇宙や地球について楽しく学べる番組」の中に詰め込まれた制作陣の練り上げられた戦略と深いこだわりを感じながら視聴すれば、大人だからこそ響く多くの“学び”が得られるかもしれない。