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第13回衛星放送協会オリジナル番組アワード 番組部門中継最優秀賞「羽生結弦アイスショー『プロローグin HACHINOHE』」

プロスケーター羽生結弦の初の単独アイスショーを中継した社会的意義

2023年07月04日 17時30分更新

文● 原田健

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 6月12日に「第13回衛星放送協会オリジナル番組アワード」の最優秀賞が発表され、番組部門中継では羽生結弦アイスショー「プロローグin HACHINOHE」(CSテレ朝チャンネル1)が受賞した。

 同番組は、昨年7月にプロ転向した羽生結弦が、あらたな次のステージに向かうための「序章」をテーマとした初の単独アイスショー「プロローグ in HACHINOHE」の千秋楽公演の模様を生中継したもの。タイトルや演技構成も羽生自ら考案し、新しい表現のフィギュアスケートを目指して、飽くなき挑戦を続ける姿を映し出した。

 なんといっても、“プロスケーター・羽生結弦”が自らプロデュースした初の単独アイスショーを中継し、フィギュアスケートファンだけにはとどまらない多くの人々に「羽生結弦の第二章の幕開け」を伝えた功績は大きい。選手としての実力だけでなく、すばらしい人間性もあいまって多くの国民に愛された羽生は、同じ日本人として誇らしく思わせてくれる存在で、引退を惜しむ声も少なくなかった。そんな彼の新しいチャレンジの門出を見届けたい人は多く、注目度も半端ではなかったからだ。

 公演は、羽生が自身の競技人生を振り返り、次のステージに向かうための「序章」をテーマとして、自分自身の好きなジャンルや表現を盛り込んだ演出となっている。強く張った弦が切れるリスクを伴いながら美しい音色を奏でるような、息が詰まるほどの緊張感あふれる選手時代の演技とはひと味違い、弦の張度を緩めることで可能となった幅のある表現で観客を魅了。また、Twitterで寄せられた質問に答えるコーナーもあり、羽生の公演に懸ける思いやプロスケーターとしての考えや心境を知ることができたのも、編集というバイアスなく生の空気感そのままに伝えたことに大きな意義があったといえる。

 “プロスケーター羽生結弦”の進化した演技力で表現される、点数を目指した演技ではなく観客を楽しませることに特化したすばらしい演技と、演技の合間のトークから彼の考えや思いを受け取りながら、日本が誇る伝説のアスリートがスタートさせた第二章の幕開けを生の空気感そのままに伝えた社会的意義の大きさも感じてほしい。

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