仕事に差がつく！阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第53回

Microsoft 365に加わった新配信チャネルの役割は新機能検証用？

　本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ＆Webアプリケーション（以下、アプリ）「Microsoft 365 Apps（Office 365）」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は更新プログラムチャネル（配信チャネル）の追加に注目した。

　Microsoft 365に代表されるMicrosoft製品群は複数の配信チャネルを設けている。たとえばWindows 11はテスター向けのWindows Insider Programとして、Canary/Dev/ベータ/Release Previewと4つのチャネルを用意するものの、製品版（リリース版）に対するチャネルは皆無だ。一方でMicrosoft 365向けインサイダープログラムのMicrosoft 365 Insiderはベータ/最新チャネル（プレビュー版）の2種類。加えて製品版には複数のチャネルを用意するものの、2023年6月13日リリースのバージョン2305からチャネルを追加した。

Microsoft 365 Insiderのチャネル選択

　従来は常に最新機能を使用するためにMicrosoft 365 Appsを更新する「最新チャネル（Current Channel）」、月1回の定期的なスケジュールで更新する「月次エンタープライズチャネル（Monthly Enterprise Channel）」、新機能は1月/7月の年2回に制限して変化の影響を最小限に抑える組織向けの「半期エンタープライズチャネル（Semi-Annual Enterprise Channel）」の3種類だった。以前からWindowsとMicrosoft 365 Appsの更新タイミングは連携した方が使いやすいと思っていたものの、関係者の話を勘案すると開発チームやマーケティングチームなどの内部事情や、OSとアプリの成り立ちが影響しているのだろう。

Microsoft 365管理センターによるチャネル管理

　さて、新たに加わるのが「半期エンタープライズチャネル（プレビュー）」である。新機能の実装や既存機能の更新ポリシーは半期エンタープライズチャネルと同じだが、リリースタイミングは3月/9月の年2回。Microsoft 365管理センターのメッセージセンター（MC586199）の説明も簡素で、リリースノートを見てもリリースタイミング以上の情報は確認できない。察するに半期エンタープライズチャネルの配信を開始する4ヵ月前からIT部門などが新機能を検証するためのチャネルなのだろう。本稿は6月17日に執筆しているが、筆者のテナントに半期エンタープライズチャネル（プレビュー）の選択肢は用意されていなかった。

メッセージセンターの内容

　今回の変更はIT部門の担当者が組織全体で使用する半期エンタープライズチャネルを事前に検証するために設けられたチャネルである。ただ、Microsoft 365 Copilotに限らず多くの変更がMicrosoft 365 Appsには加わっている。もちろん本業に支障を来すと困りものだが、せめて月次エンタープライズチャネルで新機能を認識・体験して目の前の業務改善につなげてほしい。

■関連サイト

• Microsoft 365