アスキーベストセレクション、家電担当として推したいドライヤーがあります。敬愛する料理家・今井真実さんにならって言えば「たどりついた」1台です。
数年来愛用してきたドライヤーはダイソンです。きっかけはドライヤー特集を組んだとき性能が圧倒的だったから。風が強くてすぐ乾き、温度も熱く感じず、騒音も低音寄りでうるさく感じず、重心が下にあるから手元も軽く感じられます。ほれぼれするほど完璧なんですが、唯一の欠点がデカいこと。収納が厄介で(専用ホルダーが売られているほど)、旅行に持っていくのも困難でした。
ダイソン並みの性能で小さなモデルはないものかと探し続けていた最中、昨年12月に出てきたのがピクセラ子会社A-Stageのドライヤー、「Re・De Hairdry」でした。折りたためばポーチに入るほど小さくておしゃれなのに業界トップクラスの風量を実現。さすがにいいお値段ですが、これはついにいいものが出てきたぞ! と興奮したわけです。
独自のノズルと内部構造に工夫あり
Re・De Hairdryは、「リデザイン」を意味するブランド「Re・De」から新たに登場したヘアドライヤー。シンプルかつコンパクトなデザインながら、風の流れを最適化して大風量を確保する独自技術「Airflow Optimization Technology」を搭載しています。
技術の鍵となっているのが独自形状のノズル「Airflow Control Nozzle」。ノズルが風の範囲を広げ、髪をしっかりとほぐすことで、速乾性能を支えます。風が髪の根元まで速やかに到達し、熱負担を最低限に抑えることで、髪を傷つけず、スムーズに乾燥させられるというものです。
吹き出す風は、業界トップクラスの風量約3.6m3/分、風速約53m/秒を誇ります。これは本体の筐体断面積の最小化と内部構造の最適化によるもので、髪を素早く、かつ効率的に乾かすことが可能となっています。
もう一つの特徴は、ヘアメイクアップアーティストの菊池美香氏監修のもと、5つのモードを搭載していること。「BASIC 1」「BASIC 2」「GROW」「DESIGN」「STAND」の5つのモードを組み合わせることで、ユーザーのライフスタイルに合わせたヘアドライが可能となります。
加えて、専用スタンドを使用することでハンズフリーでのヘアドライも実現可能。コンパクトなデザインと軽さ(本体約255g、スタンド約310g)は、使いやすさと携帯性を高めます。カラーはホワイト、ブラック、ヒュッゲグレーの3色の中から選択できるので、好みやインテリアに合わせて選ぶことができます。
価格は2万9700円。ドライヤー市場ではダイソンなど4万円台の機種が最上位モデルにあたり、3万円台は次に来る上位モデルの価格帯です。
最短2分30秒程度で乾いた!
実際にAirflow Optimization Technologyはどんなものなのかということで、まずはノズルを外した状態で風の強さを確かめてみました。
プラスチックのボールを風に乗せたところ、高さ約25cmまで浮かび上がりました。ダイソンの約30cmには及びませんが、かなり直進性の強い風が出ていることがわかります。
次にノズルを付けて、各モードを使って実際に髪を乾かしてみました。モデルになったのはショートカットの男性(40歳)つまり私です。濡らした髪をタオルで拭き、ドライヤーの風をあてて、完全に乾くまでの時間を測りました。
5つのモードはそれぞれ、風の「強さ」「熱さ」の組み合わせでできていて、強風だと風が髪を吹き飛ばすほどの勢い。弱風で普通のドライヤーと同等のイメージになります。
BASIC 1
まずは標準モードにあたる、高温の強風モード。乾くまでは2分30秒程度でとても早いです。ただしノズルを近づけると頭皮が熱くなります。風で水分を吹き飛ばしながら、熱で蒸発させていることがよくわかります。
BASIC 2
次が、中温の強風モード。乾くまで4分30秒程度で、そこそこの早さ。ノズルを近づけても熱くありません。髪をいたわりたいときなどに使うと公式サイトにはありますが、標準モードとして使ってもよさそうです。
GROW
次は、高温(熱い)と冷風(冷たい)が自動的に切り替わる弱風モード。サウナ感があります。乾くまで6分程度。やや遅めですが、BASICモードで乾かしたときに比べるとしっとりした仕上がりになりました。
DESIGN
次は高温の弱風モード。髪が吹き飛びそうな風の勢いがおさえられて、毛先をセットしたり、子どもの髪を乾かすときに使えるモードです。
STAND
最後が中温の弱風モード。ハンズフリーになるのでスマホを見ながら髪を乾かせて便利です。ただ風に合わせて頭を動かす必要があるので、回転するイスかスタンドがほしくなりました。
デザインは抜群、お手入れ性も抜かりなし
もうひとつ見るべきはサイズや重量、そしてデザインです。
とにかく小さくて軽いのが特徴で、洗面所でも場所をとらず邪魔になりません。付属のスタンドは洗面所にそのまま置いておきたいくらいの見た目です。
以前に「プロ仕様」などとキャッチコピーのついた速乾系ドライヤーを試したんですが、大体モーターの関係で大きくて重いんです。一方のRe・De Hairdryは、独自の小型ブラシレスDCモーターを積み、前述の工夫で流路を最適化しているため、大風量でも小型軽量です。
ダイソンは手元にモーターを入れるという工夫によって軽く感じさせる工夫をしていますが、Re・De Hairdryは本体自体がそもそも軽く、そしてコンパクト。持ち出し用のポーチも小さく、かわいくできていました。
それと細かいことですが、背面フィルターはキャップを外してお手入れ可能です。ホコリがつまったまま使うと効率は落ちるし、火災につながるおそれもあるので、お手入れしやすさは見るべきポイントのひとつです。
デザインがシンプルで、1つの機能が飛び抜けて優れているというコンセプトは、バルミューダに通ずるものも感じました。Re・De Hairdryが発表されたとき「なぜバルミューダは『BALMUDA The Dry』としてこれを出せなかったんだ」とつぶやいてしまったものでした。
洗面所にあるだけで「ふふん」という気持ちに
風が強く、デザインが良いというのがRe・De Hairdryの大きな利点。
欠点はあまりありませんが、風が強いぶん騒音がそれなりに大きく、80〜90デシベル程度になってしまいます。高音のファンノイズなので、BASIC 1モードで髪を乾かしているときは話しかけられても聞き取れません。
それと標準モードであるBASIC 1の風の勢いが相当強いので、人によっては苦手と感じるかもしれません(妻は「強すぎる!」と言っていました)。
自宅では普段、ダイソンのドライヤーに「ジェントルエアーリング」というアタッチメントを付けて使っています。風量はそのままに、風の熱さと勢いだけをやわらげられるので妻も気に入っています。今後、Re・De Hairdryにも同様のマグネット式アタッチメントが増えたら、より使い勝手が良くなってくれるのかもしれません。
とはいえドライヤー市場に並んだ上位モデルの中でもトップクラスで風が強く、「軽くて小さくておしゃれ」という選択肢は、今のところ唯一無二だと思います。ヘアケア系の機能も付いていて、3万円なりの満足度はあるはず。
総じて見ると、Re・De Hairdryは「性能、デザイン、小ささ」を求める人のための製品です。「ヘッドから放射されるナントカの効果によって髪がうるおう」といったハイテク美容機能は必要ないが、性能が良いものがほしいという人向け。雰囲気もよく、これが洗面所にあるだけで「ふふん」という気分になりますよ。ドライヤー探しで迷子になった人にもオススメです。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。6歳児と2歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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