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ChatGPTブームで急上昇 時価1兆ドルに迫るNVIDIAの今後

2023年06月08日 07時00分更新

文● 楽天証券経済研究所 チーフアナリスト 今中能夫 編集●ASCII

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AI用GPUに注力したエヌビディア、株価は10年で約100倍

 AIは、ネット通販、SNS、動画配信サービスのランキングシステム、レコメンデーションシステムや、翻訳、インターネット広告、自動運転などに使われている。

 このような大規模AIシステムは、多くの場合大手クラウドサービス会社(アマゾン・ドット・コムのAWS、マイクロソフトのAzure、アルファベットのGoogle Cloudなど)が運営を請け負っており、データセンターの中にはエヌビディア製GPUを搭載したAIサーバーが大量に設置されている。データセンター用GPUでエヌビディアは90%以上のシェアを持っていると思われる(10%未満がAMD)。

 エヌビディアの業績は、2012年1月期の売上高39.98億ドル、営業利益6.48億ドルから、2022年1月期には売上高269.14億ドル、営業利益100.41億ドルに大きく成長した。データセンター用GPUは2021年1月期から業績を牽引している。株価は2012年1月3日終値の3.22ドル(株式分割、配当調整後)から2021年までの高値である2021年11月29日終値333.35ドル(同)へ約100倍になった。

AIの歴史を変えるか、「H100」登場

 そして登場したのがデータセンター用GPU「H100」(2022年5月発表。2023年1月期3Q出荷開始)である。最新鋭の「H100」は、1世代前の「A100」(2020年5月発表、2021年1月期2Q出荷開始)と比較するとパフォーマンスが6~7倍になる。さらに、従来はCPUが担当してきた「推論」をGPUで十分こなせるくらい推論性能が向上している。

 価格も高く、日本では約471万円(メモリ80GB、税込み)。「A100」は約242万円(メモリ80GB、税込み)だが、円安で実質的に値上げされてきたため(2020年9月の発売時価格が約150万円(メモリ40GB、税込み))、実質的には2倍以上の価格差がある。「H100」と、このGPUを搭載したAIサーバーには大きな注文がきている模様である。

 また、今年後半にはエヌビディア初のCPU「Grace」を発売する予定だが、この「Grace」と「H100」を搭載したチップ「GH200」を256基搭載したAIスーパーコンピュータ「NVIDIA DGX GH200」(価格は不明)を今年後半に発売する予定である。

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