A620チップセット vs. B650チップセット

A620 vs. B650マザーボード Ryzen 7 7800X3Dに最適なのはどっち?

文●加藤勝明(KTU) 編集●ASCII

提供: 日本ギガバイト

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ゲームでもほぼ差が出なかった!

 ここから先はゲームでの検証となる。全てのゲームにおいて解像度はフルHD、画質設定はプリセットの一番下、および一番上(ただしレイトレーシングはなし)の設定とした。また、フレームレート計測は全て「FrameView」を使用している。

 最初に「Overwatch 2」は画質“低”および“エピック”設定とした、ともにFSR 1はオフとしている。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。

Overwatch 2:低設定、1920x1080ドット時のフレームレート

Overwatch 2:最高設定、1920x1080ドット時のフレームレート

 まずOverwatch 2は走らせるたびに微妙に展開が異なるため結果にブレが出やすい。最高設定での結果は微妙にB650環境の方がフレームレートが伸びているが、この程度の差はOverwatch 2では誤差レベルだ。勝ったり負けたりしているが、A620とB650でチップセットの影響はない、と言ってよいだろう。

 前述のデータを得た際に、CPU Package PowerやCPUクロックがどの程度だったのかも調べておこう。今回使ったB650マザーは冷却力も高く、チップセット自体もオーバークロック対応だけに、クロックもよりブーストされる可能性があるからだ。このデータはFrameViewのログより取得した。

Overwatch 2:ベンチマーク中に観測されたCPU Package PowerとCPUクロック(ともに平均値)

 CPU Package PowerもクロックもA620環境の方がB650環境よりも高い値を示した。クロックは誤差程度だがCPU Package Powerの方は7W程度の差が出ている。Windows上のAPIから読み取れるCPU Package PowerがBIOSや回路設計の影響を受けるかは不明だが、A620だからといって省電力という訳でもないようだ。むしろA620は頑張ってブーストし、ようやくB650と同等のフレームレートを出せていると読み取れる。

 続いて「Call of Duty: Modern Warfare II」では、画質は“低”および“極限”に設定。アンチエイリアスも連動させて“低”および”“ウルトラ品質”としたほか、低設定ではレンダースケールも100%に設定した。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Call of Duty: Modern Warfare II:低設定、1920x1080ドット時のフレームレート

Call of Duty: Modern Warfare II:最高設定、1920x1080ドット時のフレームレート

 画質設定に関係なく、チップセットの違いによるフレームレートの差は誤差レベルのものでしかない。

Call of Duty: Modern Warfare II:ベンチマーク中に観測されたCPU Package PowerとCPUクロック(ともに平均値)

 こちらもOverwatch 2同様にCPU Package PowerはA620環境の方が高い。画質が低い方がCPU Package Powerが高くなるのは、同じ時間内でより多くのフレームを描画させるためにCPUの仕事量が増えていることを意味している。

 次は「STAR WARS: Jedi Survivor」だ。画質は“低”および“エピック”とし、レイトレーシングは無効とした。加えて低設定ではモーションブラーなどの設定も全てオフとした。新規ゲームを開始して最初の連行シーンにおけるフレームレートを計測した。

STAR WARS: Jedi Survivor:低設定、1920x1080ドット時のフレームレート

STAR WARS: Jedi Survivor:最高設定、1920x1080ドット時のフレームレート

 B650の方がA620よりもわずかに高いフレームレートを出しているが、せいぜい2fps程度にとどまる。

STAR WARS: Jedi Survivor:ベンチマーク中に観測されたCPU Package PowerとCPUクロック(ともに平均値)

 CPUクロックはB650の方が高いが、CPU Package PowerはA620の方が低い。ここまでの結果から、今回の検証環境においてはB650の方がより少ない電力でA620と同等のゲーミングパフォーマンスを引き出せるといえるだろう。

「BIOHAZARD RE:4」では画質は最低設定と最高設定とし、レイトレーシングはどちらも無効とした。ゲーム序盤で訪れる教会のある村~次の集落へ続く道を移動した際のレームレートを計測した。

BIOHAZARD RE:4:低設定、1920x1080ドット時のフレームレート

BIOHAZARD RE:4:最高設定、1920x1080ドット時のフレームレート

 このゲームでもA620に対するB650の優位性は確認できない。

BIOHAZARD RE:4:ベンチマーク中に観測されたCPU Package PowerとCPUクロック(ともに平均値)

 ベンチマーク中のクロックはほぼ同じ~微妙にB650の方が上なのに対し、CPU Package Powerの読み取り値はB650の方が小さい。

 CPU負荷の高い「Cyberpunk 2077」も試してみよう。画質“低”および“ウルトラ”をベースに、FSR 2はオフに設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Cyberpunk 2077:低設定、1920x1080ドット時のフレームレート

Cyberpunk 2077:最高設定、1920x1080ドット時のフレームレート

 ボトルネックがCPU側に寄っている低設定時はB650の方が若干フレームレートが高い感じだが、画質を上げてボトルネックがGPU側に寄るとチップセット間の性能差は消失した。

Cyberpunk 2077:ベンチマーク中に観測されたCPU Package PowerとCPUクロック(ともに平均値)

 ベンチマーク中のCPU Package Powerやクロックの傾向もこれまで見てきた結果と大きな変化はない。

 最後に試す「Mount & Blade: Bannerlord II」もCPU負荷の高いゲームだ。画質は“Very Low”“Very High”としたが、さらに登場させる兵士数を最大の1000基、アニメーションも“high”設定とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Mount & Blade: Bannerlord II:低設定、1920x1080ドット時のフレームレート

Mount & Blade: Bannerlord II:最高設定、1920x1080ドット時のフレームレート

 多数の兵士をコントロールする処理が重いベンチマークだが、ここでもB650が明確に有利、あるはA620が不利という結果は見いだせていない。B650は確かにA620に勝っている部分もあるが、歴然とした差として認識するにはかなり弱い。

Mount & Blade: Bannerlord II:ベンチマーク中に観測されたCPU Package PowerとCPUクロック(ともに平均値)

 CPU負荷の高さはCPU Package Powerの値にも表れているが、それでも64Wが関の山。Ryzen 7 7800X3DのTDPの半分程度しか使っていないことが分かる。これならば電源回路のフェーズ数が少ないA620マザーでも十分運用できるといえるだろう。

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