watsonxを構成する、ai、data、governance
IBM watsonxは、「IBM watsonx.ai」、「IBM watsonx.data」、「IBM watsonx.governance」で構成する。
ひとつめの「IBM watsonx.ai」は、新しい生成AI機能と、従来の機械学習を組み合わせた基盤モデルを提供。ツールや機能群などよるAI構築のための企業向けスタジオと位置づけ、2023年7月から提供することになる。
基盤モデルライブラリーにより、企業ユーザーは、IBMがキュレーションおよび学習した基盤モデルに簡単にアクセスすることができ、データの準備から、モデルの開発、展開、モニタリングに至るまで、データとAIのライフサイクル全体を網羅。基盤モデルと、学習および調整のためのツール、費用対効果の高いインフラストラクチャーを用意し、オープンで、直感的なユーザーインターフェイスを通じて、学習や検証、調整、導入までをサポートすることができる。
自然言語インターフェースによって、開発者がコードを自動生成できる「fm.code」、偏りを簡単に軽減できるキュレーションデータを使用して、迅速にカスタマイズできる「fm.NLP」、自然災害のパターンや生物多様性、土地利用などのビジネスに影響を与える可能性がある地球物理学的プロセスを通じて対策を支援する「fm.geospatial」を初期セットとして提供。Hugging Faceの数1000種類のオープンモデルやデータセットも提供する。
2つめの「IBM watsonx.data」は、オープンレイクハウスアーキテクチャ上に、特定用途向けに構築したデータストアとして提供。構造化、非構造化、半構造化、マルチモーダルなど、あらゆるデータを一か所に集め、作業の自動化とともに、ハイブリッドクラウドによるワークロードの最適化を置超える。試算によると、データウェアハウスのコストを最大50%削減することができるという。
3つめの「IBM watsonx.governance」は、信頼できるAIワークフローを実現するAIガバナンスツールキットであり、AIにまつわるあらゆるガバナンスを集約して運用。透明性を持った説明可能な責任あるAIの導入を支援することができる。2023年後半から提供する予定だ。
さらに、IBMでは、同社の主要製品にwatsonx.aiの基盤モデルを実装。生成AIを広く活用できるようにする。具体的には、RedHatが協力して構築しているWatson Code Assistantを2023年後半に提供。生成AIを活用して、開発者が簡単なコマンドでコードを自動生成できるようにする。また、AIOps Insightsでは、コードと自然言語処理基盤で強化したAIOps機能を実現。より迅速に、コスト効率が高い方法でシステム障害を解決できるようにする。
さらに、Watson AssistantとWatson Orchestrateにおいては、従業員の生産性と顧客サービス体験の向上を実現するために、自然言語処理基盤モデルを組み合わせて提供。 Environmental Intelligence Suite (EIS)では、地理空間基盤モデルを搭載し、環境リスクに対処したソリューション構築を可能にする。EISでは、プレビュー版を2023年後半に提供する予定だ。
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