DALL-E 2、ChatGPTなどの登場による生成AI(ジェネレーティブAI)革命は、企業のAI活用やAIビジネスに大きな影響を与えてます。生成AIをはじめとするAI技術を今後、ビジネスにどう活かしていくか? その羅針盤となる書籍『AI白書2023』が2023年5月10日、角川アスキー総合研究所から発売されました。400ページ超のボリュームで、AIの技術動向から、ガバナンスや法規制の動向、さらに独自に実施したAI企業の実態調査、豊富なAI活用事例まで収録。ビジネスでAIにかかわるすべての方に必携の1冊です。
生成AIとAIガバナンス
『AI白書2023』では、各種調査、企業へのヒアリングを交えながら、大規模言語モデル、画像生成AIをめぐる著作権、AI開発における契約など、第4次AIブームにおけるAIの現状と展望を多角的に解説しています。
生成AIでは、ChatGPTなどのトピックス、Stability AI、アドビ株式会社のインタビューを掲載。Transformerの登場によるネットワークの発展、大規模モデルの画像への応用、言語モデルと画像モデルの組み合わせ、様々なマルチモーダルな応用など、生成AIにかかわる技術と最新動向をまとめています。
EUの欧州委員会ではAI Actのドラフト(AI規制法案)が2020年に公表され、具体化に向けた議論が進行中です。米国は2022年にホワイトハウスが「AI権利章典のための青写真(AI Bill of Rights)」を公表しました。生成AIの登場により、AIガバナンスがより重要となっています。GPAI(Global Partnership on AI)に関する座談会では、AI規制・法制化の動き、AI原則の方向性をディスカッションしました。
また『AI白書2023』では、AIガバナンスを含めた開発状況について国内のAIベンダー企業にアンケートを実施。「AI原則あるいはAI倫理規定を有している」と回答した企業は39.0%でした。一方、国内のAIユーザー企業には、デジタルツイン、責任あるAI、インフラ・防災・防犯、ものづくりなど、AI開発および利用動向をヒアリングし、AI原則などへの取り組みについても聞いています。企業が主体的にAIガバナンスを明確にし、政府としても国際的なルールづくりに参加することが求められているなか、AI導入の指針として本書を活用することができます。
DX、メタバース、スマートシティにおけるAI動向も紹介
AI研究の第一人者であるジェフリー・ヒントン氏はMITテクノロジーレビューのインタビュー『ジェフリー・ヒントン独白「深層学習の父」はなぜ、AIを恐れているのか?』の中で、自身の仕事を「細かいことをたくさん覚えなければならない技術的な仕事」と語っています。AIをめぐる状況は常に変化し、とてつもないスピード感で開発が進んでいます。
『AI白書2023』では、生成AIに限らず、DX、メタバース、スマートシティにおけるAIの動向など、様々な話題を取り上げています。
メタバースゲーム「The Sandbox」のインタビューでは、AIとブロックチェーン技術により、メタバース空間においてユーザーが所有権を携え、お金を稼ぐことができるデジタル経済圏の広がりを実感することができるでしょう。ロボットにTransformerを用いた新しい試みであるRobotics Transformer(RT-1)に関するコラムでは、ユーザーと会話するだけでなく、ユーザーの指示通りに行動を実行するロボット技術の概要を知ることができます。
その他、海外におけるAI知的財産、人材育成、アジャイル・ガバナンスなどにも言及しており、『AI白書2023』はAIの最新動向を確認し、AIについて理解を深めることができる一冊となっています。
『AI白書2023』
編:AI白書編集委員会
発行:株式会社角川アスキー総合研究所
発売:株式会社KADOKAWA
定価:5,500円(税込)
ISBN:978-4-04-911142-2
サイズ:A4判416ページ、2色刷(第1章のみカラー)
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